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[旅の日記]

六甲山の牧場と高山植物 

 本日は車で六甲山を訪れます。
電車で来ていれば、阪急六甲駅から近いここ「六甲ケーブル下駅」まで来て、その先はケーブルカーで六甲山頂を目指します。
六甲山上駅までの高低差493m、1.7kmの距離を、約10分で結んでいます。
かつて六甲山ホテルに結婚式で呼ばれた時も、このケーブルカーを利用した覚えがあります。
ところが残念なことに耐震性の問題から六甲山ホテルは廃館し、その後は別会社が改修し名前を変えて営業を再開したということです。
土曜日だけあって、駅には次のケーブルカーに乗るための人が列を作っています。
今回は車ですので、ここは通過して先に進みます。
ケーブルカーで登るところを車で進むので、曲がりくねった急こう配の坂道を登って行きます。

 その代わり、車ならではの特典もあります。
坂を登り切った辺りに「鉢巻展望台」があります。
そこからは、海を背景にした神戸の町を眺めることができます。
夜ならば百万ドルの夜景といったところでしょうか。

 坂道も登り終え、山の峰を走る道に出ました。
最初に訪れたのは、「六甲山牧場」です。
126haの壮大な敷地をもち、そのうちの23haを一般開放しています。
馬やヤギ、ウサギが飼育されており、実際に手を触れることができます。
山の斜面には羊が放牧されていて、人と同じ目線で周りを行き来しています。
身体を撫ぜても逃げることもありません。
羊が草を食べてくれますので、見渡す限り整備された芝生のようです。

 ちょうど羊の毛刈りのイベントが開催されています。
4本の足を持ち上げ、冬の間に伸びた毛を手早く刈っていきます。
羊の方も不思議なほどに大人しくしています。
あっという間に身軽な姿に大変身です。

     

 毛刈り会場の横では、立派な角を持ったヤギが飼育されています。
邪魔になりそうな角ですが、器用に柵から顔を出し入れています。
角の先がかゆいのかそれとも癖なのか、角の先を擦りつけられた看板には穴が開いています。

 売店には動物のぬいぐるみや牧場の乳製品を使ったお菓子が売られています。
クッキーやケーキ、チーズやヨーグルトが並んでいます。
今回はチーズをふんだんに使ったチーズケーキを、自分への土産として買って帰ることにします。

 車で次に向かったのは、「六甲高山植物園」です。
山肌を使った植物園で、高山の岩場の風景を模して植物が植えられています。
六甲山上の気候を利用した高山植物を見ることができます。
東口から入ったせいか、1人が通れる入り口を通った先に広大な植物園が開けています。

 入ってまず目を引くのが、純白の花びらをもつユキモチソウです。
筒状の器の真ん中に、雪を思わせる白い餅状の付属体がついています。
その上には、ウツボカズラのように器のふたが備わっています。
花の中央からは虫の好む匂いが出ており、花の奥へ虫を誘い込む役割を担っています。
緑の中で目立つ白い特徴のある形の花は、普段見ることができない珍しいものです。

 クロユリは、すぐにでも花が開きそうなつぼみをつけています。
平地でもよく見るユリの1種ですが、高地で見ることができるのがこの黒いユリです。
こちらはユキモチソウとは違い悪臭を放つ花で、スカンクユリやdirty diaper(汚いオムツ)という別名もあります。

 それでは植物園を巡っていきましょう。
チューリップとともに黄色い花が見えます。
ニッコウキスゲという名で有名なゼンテイカです。
本州中部地方以北から東北地方の海抜1000m以上の高山地帯に生える多年草です。
霧降高原、尾瀬ヶ原、霧ヶ峰などで見られるニッコウキスゲの群落が有名です。

 ここでは白い花のチングルマも満開です。
高山の多湿地に生える植物で、本州中部地方以北に分布し、樺太、アリューシャン列島、カムチャツカ半島でも見ることができるものです。
いまが見ごろの花です。

 さらに歩いていくと、湿地帯の池に出ます。
中央には遊歩道を模した木を打ち付けた通路が通っています。
ここから見えるのが、ミズバショウです。
水辺いっぱいに、ミズバショウが群生しています。

 池の横には展示施設があります。
ここを訪れてみましょう。
中には高山植物を描いた手ぬぐいやバッチなどの土産物が並んでいます。
本日はここで植物学者 牧野博士の展示が行われていました。
牧野富太郎といえば日本が生んだ歴史的英雄です。
詳しくは高知県佐川の旅行記をご覧ください。

 さらに園内を回ってみます。
ここで珍しい植物を見つけることができました。
ハナイカダで、葉の中央で花が咲く珍しいものです。
葉を筏に見立てて、船頭が乗っているように見える花から、このように呼ばれるようになりました。
  北海道南部以南の森林に自生するものです。

 コマクサは「高山植物の女王」と呼ばれるような代表的な高山植物です。
10cmにも満たない背の低い草花で、淡紅色の花を咲かせています。
ここからはその他の高山植物を、写真でご覧ください。

     

 最後に伝えするのは、六甲高山植物園の近くにある「ROKKO森の音ミュージアム」です。
1994年に開館したオルゴールの博物館です。
オルゴールの中でも自動演奏楽器を中心に集めて展示しています。
人の背丈をはるかに超える大きなオルゴールが曲を奏で、20分もの時間をかけて「演奏家のいないコンサート」が開催されます。

 さて六甲の旅も無事終え、今夜の楽しみがひとつあります。
実はチーズケーキ以外にも、自分土産があります。
六甲バターが作るQBBチーズ、それに神戸ワイナリーの神戸ワインです。
チーズ片手にワインを嗜む、なんと贅沢な時間でしょうか。
六甲の旅の行程を思い出しながら、食膳のワインをいただいたのでした。



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