世界の旅 アジア タイ ロッブリー

[旅の日記]

ロッブリー ลพบุร๊ 

 猿に占領された町をご存知でしょうか。
今日はそんな町であるロッブリーを訪れることにします。

 バンコクを朝7:00に出発し、まず目指したのはサラブリーです。
ワット・プラプタバードという岩山の中腹に建てられたお寺を見て廻ります。
山門には例によって邪鬼を追い払う怖い顔をした像が立っています。
その奥には生まれた曜日の7体の仏様が並んでいます。
確か土曜日だった私は、大蛇の上に座り大蛇の顔を持つ仏です。
本堂は階段を登ったところにあり、タイ人のごとく長い線香と蓮のつぼみをお供えしてきました。
本堂の下には寄贈された鐘が50個ほど並んでいます。
鐘たたき用に準備している40~50cmの杖で、歩きながら順に叩いていきます。
それぞれ響きが違うのですが、音楽になっているでもなく、寄贈された鐘をただ並べただけで特に意味がないっていうのは日本と違うところです。
そしてそのわきには、一番古いといわれるお寺もあります。
像を信仰していながら提灯が飾ってある、タイ仏教と中国様式が混ざり合った不思議なお寺です。

 サラブリーで買った甘く味付けされたヒマワリの種を頬張りながら、車は次の目的地であるロッブリーへと進みます。
本日の目的の1つである、猿に占領されたサーン・プラ・カーンです。
町中屋根を伝って猿が走り回っているのですが、この寺の門を入るやその密度は非常に濃くなります。
まさに猿が寺を乗っ取っている状態なのです。
眼鏡を取られないように注意しろと言われて、中に入っていきます。
寺も寺で、本来龍や象の像があるはずのところに、猿の石像が私を迎えてくれたのです。
寺の中には線香の煙がこうこうと立ち込める中、お供え物の豚の頭やお米などがずらりと並べられていました。
でも聞くところによると、猿の大好物はヤクルトだということだそうです。

 ロータリーの真ん中に位置するサーン・プラ・カーンを後に、そのロータリーに脇のところには3つのクメール様式の塔がそびえ立つお寺があります。
プラ・プラーン・サム・ヨートと呼ばれるこの寺は、ヒンドゥー神であるブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの三位一体を表していましたが、ナーラーイ王の時代に仏教寺院に改められました。
係りの子供が棒を片手に猿を追っ払いながら、寺院まで案内してくれます。
寺院内部には猿が入れないように、扉がしっかりと締められています。
内部は縦に長い廊下があり、薄暗い廊下の要所要所に仏像が置かれているのですが、いずれの仏像も盗難にあって首がないものばかりです。
そんな中、まだ小学生ぐらいの4~5人の僧侶が、この寺を守っています。
オレンジの衣服をまとった彼らは、寺院の窓から餌付用のひまわりの種を撒きながら猿と戯れていました。
えっ、それって私が今まで食べていたやつと火を通すかどうかの違いだけじゃないの!

プラ・プラーン・サム・ヨートにほど近いところには、ヒンドゥー教と仏教の2種類の建物が混在したワット・プラ・シー・ラタナー・マハタートがあります。
広大な敷地内には、廃墟となったトウモロコシ型の屋根をしたヒンドゥー教寺院と、尖った屋根の仏教寺院が同居しています。
この寺院の前はロッブリーの駅があり、いつ来るともわからないのんびりした列車を待っている人がいました。

 ロッブリーには、もうひとつ見るべきものがあります。
これまた歩いていける距離のところに、プラ・ナーラーイ・ラーキャニウィート宮殿があります。
入口でお金を払うと、珍しいことに日本語のガイドを渡されたのです。
ナーラーイ大王時代のこの建物には、宮殿だけでなく当時の水道の後も保存されています。
そして宮殿は大きな塀で囲まれており、そこには大きなアーチ型の門が行く手を阻んでいます。
中の建物は今は国立博物館になっており、ロッブリー繁栄期の建物の壁画や仏像、絵画などが展示されていました。

 駆け足で見てきたロップリーの町ですが、所詮小さな田舎町。
もう見るべきものを見つくしてしまった感があります。
あとはタイ料理を食べて、少し早いバンコクへの帰路に着くのでした。

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