にっぽんの旅 東海 三重 伊勢

[旅の日記]

麻吉旅館から伊勢参り 

 本日は三重県、お伊勢詣りの旅です。
そして五十鈴川駅から1kmほど離れたところにある「老舗旅館麻吉」からのスタートです。

 ここ古市地区は江戸時代に遊郭が集まる場所として栄えました。
ひっそりと静まり返った今の様子からは、想像もできません。
そんな中、今でも当時の面影を残した宿があります。
「老舗旅館麻吉」で、急な坂道に建てられた歴史深い木造の宿です。
入口には提灯が吊るされ、風情のある門構えです。

 旅館を後にして、古市の参宮街道を進みます。
村の中の貫く道を、次の目的地である「猿田彦神社」に向かってのんびりと歩きます。
やがて2連の大きな灯篭が見えてきます。
この先の坂を下ったところに、「猿田彦神社」はあるはずです。
道路では地元の学生が授業(クラブかも)で、トレーニング「耕運機」をしながら坂を上っています。
かなりきつそうですが、そんなことをもろともせず進む姿はさすが若さです。

 そして「猿田彦神社」にやってきます。
天孫降臨を啓行(みちひらき)した猿田彦大神は、高千穂に瓊瓊杵尊(ここぎのみこと)を案内します。
その後に、天宇受賣命と本拠地である五十鈴の川上の地に戻り、この地を始め全国の開拓にあたります。
そして宇治土公宮司家の祖先で猿田彦大神の裔である大田命が、倭姫宮の御巡幸に五十鈴の川上にある地を勧めたことから、この地に皇大神宮(内宮)が造営されることになったのです。
猿田彦大神の子孫である宇治土公家が、代々の宮司を務める神社です。

 さて、今回の旅行の目的であるお伊勢参りです。
まず外宮、それから内宮とお参りするのが本来の姿だそうですが、今日はここからいきなり内宮へ直行します。
内宮と呼ばれる皇大神宮は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を御祭神としており、国家の最高神とされています。
目の前の五十鈴川に架かる宇治橋を渡り、境内に入っていきます。
木の橋を踏みしめながら橋を渡ると、いよいよお伊勢さんかと心が高ぶってくるのがわかります。
松をくぐり砂利が敷き詰められた広い参道を歩いて行くと、やがて右手に先ほどの五十鈴川を眺めるところに出ます。
ここは御手洗場で、冷たい川の水に手を浸して身を清めます。
さらに先に歩き進むと、10段ばかりの階段の先に別宮があるのです。
ただし、我々がお参りできるのは、ここまで。
柵からなかを覗き込むのが、精いっぱいでした。

 実は古くなった社殿は、20年に1回の周期で造り替えられるのです。
そのために造り替え用に現在の社殿と同じ大きさの土地がもう一つあり、20年おきに入れ替えているのです。
なんとまあ、贅沢なことですね。
そのお祭りを式年遷宮と言い、すでに5年先の次期遷宮に向けた工事が始まっていました。
といっても、木の塀で囲いをされ、中の様子を覗い知ることはできませんでした。

 もと来た参道を戻り、今度は門前町を散策します。
でもその前に、ここでも腹ごしらえを。
鰻料理であるひつまぶしを頂くことにします。
おひつの鰻御飯を、4杯に分けて茶碗に盛ります。
教えられた通りに、まず1杯目はそのまま食し、2杯目は薬味を添えていただきます。
そして3杯目はお茶を掛けて、すすり込みます。
「えー、鰻をお茶づけでなんてもったいない」と思っていたのですが、わさびをきかせて食べるこの食べ方が思った以上においしいのです。
4杯目は3杯目までのうちの気に入った食べ方をすればいいのですが、当然お茶漬けで締めとなりました。

 宇治橋から800m続く「おはらい町」では、石畳の道の両脇に多くの土産物屋が軒を連ねています。
伊勢に来たからには寄りたかったのが、赤福本店です。
お餅の上にこしあんを乗せたお菓子は、300年前からのものです。
あまりにも有名で説明の必要はないのでしょうが、ここのもう一つの隠れた名物が赤福氷です。
抹茶蜜のかかったかき氷の中に赤福が入っており、ひつまぶしで満腹になったおなかにはちょっとこたえましたが、お勧めの一つです。

 おはらい町の通りの中程には、「おかげ横丁」が広がっています。
明治時代の伊勢の様子が再現されており、江戸末期から明示初期に流行した「おかげ参り」にちなんでつけられたと言われています。
突然の雨のため飛び込んだのが、おかげ座です。
ここは300年前のおかげ参りの街並みが模型で再現ざれており、それをユーモアたっぷりの語りで紹介してくれます。
語りおばちゃんのおもしろさに、20分の見学もあっという間の時間でした。

 もう一つ、忘れてはならない食べ物があります。
これは「伊勢うどん」で、濃い汁に漬かったうどんはさぞかし味が付いているのだと思えるのですが、食べてみれば意外と薄味なのです。
その昔伊勢参りに来る客に、すぐ出せるよう予めゆがいて準備されていたという腰のないうどんです。
柔らかいうどんが好きなので、これは嬉しい一品なのです。

 そうこうしているうちにすっかり陽も傾いてきました。
ここから近くの五十鈴川駅までバスで向かった後は、近鉄特急に乗り込んだのでした。

     
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