にっぽんの旅 東海 愛知 名古屋城

[旅の日記]

名古屋城 

 今回は、名古屋の散策です。
散策と言っても名ばかりで、実は名古屋の旨いもの探索です。
 到着した日の夜は、ひつまぶしです。
そして向かったのは、浄心駅です。
行きに乗った地下鉄鶴舞線では、真っ赤な車体がホームに滑り込んできました。これは、名鉄の電車なのでしょう。
車体の色を見て、本当に名古屋に来たんだ!って、改めて感動しています。

 浄心駅からほど近いお店は日本料理店で、大通りから1本中に入った静かな通りに、立派なお店が腰を据えています。
中に入り待たされること数分、席に招待されます。
はやる心を抑えながら、顔では店の雰囲気を壊さないよう、何食わぬ顔をしてひつまぶしを待ちます。
そしてやってきたおひつの中は、ご飯の上にうなぎがびっしりと敷き詰められています。
教えにある通り、まずは1盃目はそのまま食べて、うなぎご飯を楽しみます。
柔らかいうなぎに甘いたれがなじんでいて、これだけでも十分おいしいものです。
2敗目は薬味を乗せ、漬物やのりを振って食べてみます。
そして3杯目はお茶をかけて。
せっかくの濃厚なたれの味が薄まるのを気にしていたのですが、ネギとのりを振りかけお茶を注いで食べるのも、あっさりしていて実に口に合います。
一番楽しみにしていたひつまぶしを、十分に味わった初日でした。

 さて翌日は、名古屋城から歩き始めます。
地下鉄名城線の市役所駅で降ります。
この駅は地上の出口自体が、木の柱と瓦屋根の和風の造りをしています。
近くの東門から入らずに、あえて遠くの正面に回ります。
堀に伝って西に進み、西鉄門を過ぎたあたりに、まだつぼみの堅い桜並木に出ます。
さらに進むと、正門の切符売り場が見えてきます。
誰か有名人でも来るのでしょうか、門に続く通りには若い女性がいっぱいで、列を作って待っています。

 正門を入ると、金のしゃちほこが祀られています。
そして正面には、金のしゃちほこが屋根に飾られている名古屋城の天守閣が現れます。
天守閣に登るには、時計回りに城の周りを歩いて行かなければなりません。
進むにつれ城を姿の変わるちゃちほこを眺めながら、進んでいきます。
訪れた時は本丸御殿の復元中で、材木を1本1本揃えている復元作業の様子を見ることができます。

 さて、いよいよ石垣で守られ高くそびえる天守閣に入りましょう。
天守閣の中にはエレベータが設置さており、苦労せずにてっぺんまで登ることができます。
上りをエレベータに頼り、帰りを階段で降りてくることにします。
天守閣からは、名古屋の街並みが一望できます。
そして5階から下は各階ごとにテーマが決められ、美術工芸品の展示や、当時の暮らしぶりを再現した街並み、名古屋城の歴史の紹介などが、各階ごとに展示されています。
一つずつ見て回ると、小一時間がかかってしまいます。

 天守閣の見学も終えて外に出て、東の二の丸庭園を眺めながら、東門へと向かいます。
ところが朝からの雨足がここにきて強くなり、庭園を観ているどころではありません。
足早に次の目的地へ進みます。

 再び市役所駅まで戻り、道の東側に渡ります。
名古屋市役所と愛知県庁が並んで建っています。
城郭風の屋根で時計塔にもなっている帝冠様式の造りの名古屋市役所と、瓦ぶきの三角屋根を有する愛知県庁舎のいずれも、独創的なデザインの建物です。
今回はその先の市制資料館に向かいます。
市制資料館は、煉瓦造の3階建の洋風建築で、1922年に名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所の庁舎として建設されました。
内部は当時の裁判所の様子が再現され、無料で見学することができます。

 そして、市制資料館から東側、高速1号線を越えた辺りは白壁文化の道と呼ばれ、尾張藩中級武士の邸宅があった場所。
明治維新以降も、実業家の屋敷が残されています。
カトリック主税町協会を越えると、旧春田鉄次郎邸があります。
明治時代の陶磁器の貿易商で、正面の洋館はレストランとして営業しています。

 その隣には、旧豊田佐助邸があります。
豊田自動織機製作所を造った豊田佐吉の弟である豊田佐吉は、佐助を補佐してこの地に住居を構えます。
和館と間続きの白いタイル貼りの洋館には、客をもてなすための応接間が造られています。
今はなきトヨダ製のステレオが飾られ、天井の通風口までに豊田のトレードマークが模様されています。
一方の和館は、ゆったりとした畳の間で、名古屋の暑い夏を乗り切る工夫が縁側のガラス戸や雨戸に施されています。

 そして旧豊田佐助邸の近くには、旧川上貞奴邸である二葉館もあります。
日本の女優第1号である川上貞奴が、電力王である福沢桃介と大正時代に過ごした建物です。
オレンジ屋根の洋風で、中には貞奴の関連資料が展示されています。

 さてさて、お待ちかねの昼食は、矢場町まで出かけます。
矢場とんの大きな味噌カツである「わらじとんかつ定食」を食べるためです。
昼食時期で混んでおり、店の外でまず並び、やっと店の扉をくぐることができたと思えば、階段で順番待ち。
20〜30分待たされて、お目当ての食事にありつくことができたのです。
とんかつはボリューム満点で、みそ味の効いたソースが一層の食欲を注ぎます。
混み合って騒がしい店内もなんのその、夢中でとんかつをほうばっていたのでした。

 そしてその日の夜は、味噌煮込みうどん。
ぐつぐつ言いながら土鍋に入って出てきたうどんは、取り皿になっている土鍋のふたには、穴が開いていないのです。
またまたみそ味だというのに、汗をかきながらも食は進みます。
うどんだけではおなかがすくのではという不安も不要で、土鍋を食い尽くしたときには、おなかもいっぱいになっていました。

 ちょっとだけ名古屋の歴史を知りながらも、ほとんど食べてばかりの名古屋の旅でした。

     
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