にっぽんの旅 東北 宮城 仙台

[旅の日記]

杜の都 仙台 

 今回は「杜の都」仙台に来ています。
仙台空港から仙台空港鉄道仙台空港線に乗り、JR仙台駅に出ます。
東北最大の都市だけあって、仙台駅前はビルが並び道は車でいっぱいです。
「腹が減っては戦ができぬ」と言わんばかりか、まずはおなかを満たします。
目に入ったのは、この地方で食べられる「油麩丼」です。
油麩に混ざってカツも入っているのですが、見た目では油麩とカツの区別がつかない程です。
油麩には醤油とみりんの出汁が、しっかりと浸みています。
それをカツと合わせて、卵でとじられているのです。

 食後は駅ビルで仙台名物の「笹かまぼこ」を買い、それをかじりながら本日の行動を探ります。
どうやら駅からは、仙台の観光地を巡る「るーぷる仙台」と呼ばれるバスが走っているようです。
それを利用しない手はありません。

 バス停にはほどなくクラシックな車体を模った「るーぷる仙台」が入ってきました。
それではバスに揺られて、仙台の町を旅しましょう。
最初に向かったのは、「瑞鳳殿」です。

 「瑞鳳殿」は、仙台藩初代藩主の伊達政宗を祀った霊廟です。
蛇行する「広瀬川」に囲まれた経ケ峯にあり、都会の真ん中とは思えない静かなところです。
緑豊かな中を貫く石段を登って行きます。
目の前に突如現れた「瑞鳳殿」は、青や赤そして金色ときらびやかな装飾をしています。
良く見ると柱1本1本に、繊細な彫刻が施されており、ただ色鮮やかなだけではないことが判ります。
混んでいるわけでもないのに、人の姿が途絶えることはありません。

 経ケ峯の離れたところには、2代忠宗廟「感仙殿」と、3代綱宗廟「善応殿」もあり、いずれも「瑞鳳殿」と同様に黒を基調とした鮮やかな色付けをした建物です。
なお「瑞鳳殿」から「感仙殿」「善応殿」を結ぶ木々の間の石畳の参道には、奇妙な看板が並んでいます。
「熊が目撃されました。十分に気を付けてください」とのことです。
恐る恐る歩いてみたものの、幸いにも熊に遭遇することはありませんでした。
でも、どう気を付ければ良かったのでしょうか?

 「瑞鳳殿」の近くには、仙台を唄った「青葉城恋唄」にも表れる「広瀬川」が流れています。
山形県境の作並に源を発する「名取川」支流の河川です。
今いる付近では、右に左に大きく蛇行して流れています。

 ここからは再び「るーぷる仙台」に乗り、「青葉城跡」に向かいます。
バスは青葉山の坂道を力強く上り、標高130mの山頂に進みます。
途中にある「大手門脇櫓」を横目に、バスは進んで行きます。
周りを断崖で固められた天然の要害に築かれた「青葉城」は、徳川家康の警戒を避けるために あえて天守閣は設けなかったといわれています。
バスで到着した「青葉城跡」には城はなく、柱の跡が残るのみです。
しかしこの高台からは仙台の町を一望することができます。

 そして「青葉城跡」の隣りには、馬に乗った「伊達正宗」像があります。
「伊達正宗」は戦国大名 仙台藩の初代藩主です。
1567年に出羽国米沢城で生まれた幼名 梵天丸は、その後元服して伊達藤次郎政宗と名乗ります。
1584年の父 輝宗の隠居に伴って家督を相続し、伊達家第17代当主となります。
周辺地域と戦いの絶えない政宗に対し、時の関白である豊臣秀吉は関東、奥羽の諸大名に私戦禁止することを命じた惣無事令を発令します。
これは関東の北条氏と奥州の伊達氏の勢力拡大を恐れて発したものですが、政宗はこの命令を無視して戦争を続行します。
やがて正宗は、東北一円を手中に収めることになります。

 しかし、織田信長の亡き後の天下統一を目論んでいた豊臣秀吉は、全国な大名に上洛して恭順の意を示すよう促します。
最後まで抵抗をつづけたのが後北条氏と伊達氏だったのです。
ついに秀吉は1590年、歯向かう後北条氏を懲らしめるために小田原征伐に向かいます。
当時、後北条氏と同盟を結んでいた正宗は後北条氏に加勢するがごとく会津を出発するものの、小田原では豊臣方の浅野長政の説得に合い秀吉に服属する判断を下したのです。
このことで関東で勢力を奮っていた北条氏政、氏直の親子は秀吉に降伏し、秀吉の日本統一に至ったのでした。

 同じ場所には1904年に「招魂社」として創建された現在の「宮城縣護国神社」もあります。
国のために命を捧げた郷土出身者の霊が祀られています。

 再び仙台駅に戻ってみましょう。
「仙台七夕まつり」まで残り1ヶ月を切った今、町の至る所に趣向を凝らした七夕飾りがお目見えします。
先ほどの「瑞鳳殿」「青葉城跡」そして駅前店舗にも、色鮮やかな飾りが展示されています。

そんな中、仙台に来たからには腹に入れておきたいものがもうひとつあります。
仙台が誇る牛タンです。
牛タン定食は、タンとテールスープにご飯がついたものです。
仙台に来る前夜の昨日は少し飲みすぎたので、今日はこの定食とビールだけに抑えることにします。
ジューシーなタンですがやはりそれは肉のもつ脂っこさがあり、添えられたキュウリが口のなかの油を消してくれます。
たくさんのタンを食べても、気にならないのでした。

 それではここで、夏には味わえないものをご紹介しましょう。
これは、仙台の寒い冬に行った時のものです。
せりを余すことなく用いた「せり鍋」です。
少し茶色味がかって砂を噛まないか心配する根は、シャキシャキ感があります。
火を通してでしんなりなった茎は、歯とともに食べます。
春菊のように、鍋に入れるとすぐ食べられます。
酒を飲みながら根まで食べることのできる、この地方特有の鍋があります。

 そして本日は伊達正宗の足跡に触れ、念願の牛タンも食べ終え、そしておまけで「ずんだ餅」までいただきました。
大満足の仙台の1日だったのでした。

     
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