にっぽんの旅 東北 秋田 男鹿

[旅の日記]

男鹿半島 

 秋田の男鹿半島の旅です。
男鹿へは、JR秋田駅から男鹿線で約1時間のところです。
ところがその先はわずかに路線バスがあるものの、観たいところを回るには路線も本数も満足するほどではありません。
路線バスと言っても乗合タクシーだったりして、短時間で多くのところを回るには無理があるのです。
そこで今回は、久々のレンタカーの登場となりました。
男鹿駅の手前、船越駅で降ります。
ここで、レンタカー営業所からの送迎車に乗り、一旦営業所に寄り手続きを済ませてから、ようやく車での旅が開始しました。

 男鹿半島南岸の海岸線を、車は走ります。
混雑を知らない道路を走るのは、この上もなく快適です。
海を眺めると、浅瀬から岩肌が覗き、ここそこで色い波が立っています。
「椿漁港」を過ぎしばらく走った「潮瀬崎」に、「ゴジラ岩」があります。
道路から海側に降りたところは岩の敷き詰められた場所で、先の小高い岩や灯台が見えます。
灯台に向かって歩きにくい足場を進んでいくと、右手にゴジラの形をした岩があります。
ゴジラが口を開けて立ちはだかっている姿、そのものです。
色々な地方にゴジラ岩はありますが、ここのものは「なるほどな」と言えるものです。

 車は、さらに先に進みます。
「門前」のバス停には、大きなナマハゲの立像があり、こちらを睨みつけています。
ナマハゲは後程じっくり見て回るので、先を急げます。

その昔、漢の武帝に連れてこられた5匹の鬼が、村を荒らしまわり食べ物や女たちを略奪していました。
「潮瀬崎」から1〜2km程進んだところに、「五社堂」の入り口があります。
車はその先の駐車場に入れ、石段の中段から登ってのちょっとだけ楽をした参拝となります。
正式名を「赤神神社 五社堂」と言います。
困り果てた村人は、娘を差し出すことを条件に、鬼に五社堂までの100段の石段を積み上げることを約束させます。
そしてあと1段という時に、一番鶏の鳴きまねをして鬼を追い払いました。
鬼たちが怒って手近にあった大きな杉の木を引き抜き、逆さに差したと言われる「逆さ杉」が、今も五社堂に残されています。
この地方のナマハゲですが、「五社堂」には5体のナマハゲが祀られています。

 男鹿半島の西海岸を、車は走ります。
岩肌が海面から覗く海岸線を見ながら、北へ北へと進みます。
途中、「男鹿水族館GAO」がありますが、ここは通り過ぎます。
「戸賀湾」まで来ると、少し東の山側に入ります。
「八宝台」の展望台からは、先ほど通ってきた「戸賀湾」を見渡すことができます。
そして「戸賀湾」の手前に、林の中にぽっかりと空いた「二ノ日潟」を臨むことができます。
「戸賀湾」周辺には3つの潟があり、これは日本で男鹿半島のみ存在する爆裂火口湖です。
爆発的な噴火によって、噴出物はほとんど積もらずに火口だけができ、ここに水が溜まって湖となったものです。
深い木々の合間に丸い大きな湖が顔を覗かせる様は、実に神秘的です。

 さて、車はさらに北上し、「入道崎」に向かいます。
「入道崎」は男鹿半島の最北端で、白と黒の縞模様の入道崎灯台がここのシンボルです。
灯台の前は草原が広がっており、北緯40度の緯線に沿って、石が並べられています。
海岸線は岩場、ひとたび山側に入ると木々で覆われている男鹿半島で、ここだけは海岸線近くまで草原になっています。
さっそく灯台に登り、日本海を覗いていみますが、あいにくの雨で遠くはどんよりかすんでしまい、海岸線を見ることができません。

 ここからは、「男鹿温泉郷」へ向かってみます。
「入道崎」からは、車で10分余りのところに、温泉地はあります。
温泉宿はあるものの、思い抱いていたような賑やかな温泉街ではなく、人もまばらです。
せっかく来たのだから、秋田で食べたいと思っていた「稲庭うどん」を探します。
「五社堂」の長い石段と、ここまでひたすら進んできたこともあって、うどんを待つ間に飲んだ冷茶がおいしいこと。
そして肝心の「稲庭うどん」は、薄く平たいつけ麺す。
名古屋のきしめんよりもはるかに薄く、柔らかく食べやすいものでした。

 さて腹も満たすと、最後の目的地である「なまはげ館」に向かいます。
途中、道端に小さなお堂を見付けました。
名前は定かでないですが、柱がわらで包まれているのが、ナマハゲの衣装でわらをまとっているのに似ていると思うのは、考えすぎでしょうか。
道路はこの先の「真山神社」の鳥居を潜って、先に続いています。

 秋田、それも男鹿半島に来た目的は、「なまはげ」に会いに来たかったからです。
「なまはげ館」では、その望みを叶えるかの如く、歴代のナマハゲが勢ぞろいしています。
その数は100体余りもの、壮大なものです。
ナマハゲのビデオ紹介もあるのですが、あっという間に館内の見学も終わり、入場料に対してこの内容ならばちょっと高いかなってところです。

 そもそもナマハゲとは、大晦日の晩に男鹿半島のほぼ全域で行われる行事です。
真山 本山に鎮座する神々の使者と信じられているナマハゲが各家庭を巡り、悪事に訓戒を与え厄災を祓って「怠け者はいねが。泣く子はいねが」と練り歩くものです。
鬼のような怖い顔と包丁を持った姿から、子供は怖がり吉事をもたらす神とは思いにくいのですが、この地では信仰の対象になっています。

 外に出て「なまはげ館」の裏手の山道を登っていくと、「真山神社」があります。
境内は杉木立に囲まれ、静かな荘厳な雰囲気を感じることができます。
ナマハゲゆかりの地としての「真山神社」では、毎年2月に「なまはげ柴灯まつり」が行われる事でも有名です。
雪の中のナマハゲの踊りにも、いつか来てみたいものです。

 秋田男鹿半島での、静かでのんびりした1日が過ぎていきました。
帰りの電車の中からは、有名な「八郎潟」の通じる水門を眺めながら秋田に戻って行ったのでした。

   
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