にっぽんの旅 四国 徳島 徳島

[旅の日記]

徳島の阿波踊り 

 徳島にやってきました。
ところが駅の周りを行き交う人が、なんか違います。
御姫様のような中世を思わせるコスプレ姿で、街を歩いています。
そんな姿が、ここにもあそこにも。
何か仮装大会でもやっているの? それともこれが徳島では普通なの?
そして徳島が誇る「阿波踊り」も、しっかりポストの上で

 ともあれ、「徳島城址」を訪れます。
まずは「鷲の門」から城の敷地に入ります。
この門は徳島城の表門に当たり、脇戸のついた薬医門です。
第2次世界大戦で焼失しますが、1989年に復元されました。
門を潜り中に入って行きます。
右手には堀に架かる石橋があり、この下乗橋を渡って場内に入って行きます。
堀の内側にはかつての城の石垣が広がっています。
徳島城は、室町時代の1385年に細川頼之が築いた小城が始まりだとされています。
羽柴秀吉が1585年に行った四国平定の際、阿波には蜂須賀家政が入国します。
土佐国の長宗我部軍が籠城していた一宮城を始めは居城としていましたが、秀吉の指示により紀伊水道に面したこの地を城を築くことになります。
築城には土佐国の長宗我部元親、伊予国の小早川隆景に加えて近江比叡山の宗徒が協力しました。
この際町も整備され、これまで呼ばれていた渭津から徳島に名を替えます。
以降、徳島藩蜂須賀家の居城として280年の藩政が続くことになります。
城の石垣には、この地方で採れる結晶片石が使われています。

 それでは「徳島城博物館」を訪れてみましょう。
ここでは徳島城と蜂須賀家の資料が展示されています。
その中でも目を引くのは、徳島藩の水軍である阿波水軍が持つ船の数々です。
展示されているのは現存する日本最古の和船である「千山丸」です。

 博物館からは壁一面のガラス越しに、庭園を臨むことができます。
博物館の入場券で庭園に出ることができるというので、「徳島城表御殿庭園」も訪れてみます。
庭園の中央には「心字池」があり、水を湛えています。
この池の水は地下で海とつながっており、潮の満ち引きに応じて水位が変化するのです。
池の奥に見える高台に山城が、そして今いる場所には平城の2つから成っています。
標高61mの山城部分には本丸を中心として、東二の丸、西二の丸、西三の丸が並び、連郭式の配置をしていました。
「心字池」とは違い、もうひとつ枯池があります。
緑色の緑泥片岩はこの地方で採れたもので、ここには10.5mもある重さ13トンもの巨大な緑泥片岩が石橋として使われています。
初代藩主の蜂須賀至鎮が集めたもので、なんと贅沢なものでしょう。

 さて「徳島城址」を回り終えると、急にお腹がすいてきました。
それでは、徳島ラーメンを食べに行きましょう。
実は寄りたかった店があるのです。
しかし案の定、店の前には既に列ができています。
順番を待ってでも、色の濃く少し甘めのスープと味の付いた肉で覆われたあのラーメンが食べたかったのです。
そこに生卵を落とせば、忘れられない味となる徳島ラーメンの完成です。
たったラーメン1杯でも、幸せになれるのでした。

 食後は少し歩きましょう。
「阿波踊り会館」を目指して進んでいきます。
途中の新町川に架かる「新町橋」では、川辺に人だかりができています。
大きなマイクからの声は、何か番組を撮っているようです。
徳島に着いた時にやたら目にしたコスプレに関係があるのでしょうか。
声はするものの人ごみで姿が見えずで、真相は判らずじまいです。

 「阿波踊り会館」は、徳島が誇る夏の名物が紹介されています。
会館の前にある休憩所「へんろ小屋」の屋根も、阿波踊りで被る編み笠の形をしています。
すでにここでテンションが上がっています。
阿波踊りとは「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」で有名なあの節です。
その起源は様々の説があり、1説によれば徳島城の完成祝いに時の藩主 蜂須賀家政が城下に踊りを進めたとも言われています。
江戸時代には一揆につながるとの理由で阿波踊りが禁止されたり、また戦時中には不謹慎として一時中止令が布かれたことがありました。
しかし今は再び盛んに踊られ、連と呼ばれる踊り手の集団が町を踊り歩く様をここでは見ることができます。
何度か踊りの時期に徳島を訪れる計画をしましたが、とうの昔にホテルの予約は埋まっており未だ実現できていません。

 そして「阿波踊り会館」の裏手には、眉山がそびえています。
「眉山ロープウェイ」で山頂まで上ることができ、ここから徳島の町を一望することができます。
運が良ければ対岸の本州の紀伊山地を臨むこともできると言われています。

 さて駅に戻り、ここから電車に乗り込みます。
駅にはアンパンマンのベンチがあります。
アンパンマンの作者であるやなせたかしは高知出身で、JR四国が力を入れているのがこのアンパンマンです。
車体にアンパンマンが描かれた電車に、何度か出くわしたのです。
アンパンマンよりビールと、缶ビール片手に出発前に買い込んだのは「かつてん」です。
小松島名物の「かつてん」をつまみに、電車の旅を続けることにします。

   
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