にっぽんの旅 九州 大分 別府

[旅の日記]

別府温泉 

 本日は、大分の町を散策します。
ここはJR日豊本線の別府駅です。
日本有数の温泉地である別府は、駅の看板にまで温泉マークが描かれています。

 駅を出てみましょう。
駅前のロータリーの片隅にも、温泉の湧いている場所があります。
「手湯」というモニュメントで、ぶくぶくと湯が噴出しています。
さすが温泉の町です。
別府で湧出する湯量は日量125,000kLで、これは日本最大です。

 駅から2〜3分も歩けば、鉄道の高架下を利用した市場があります。
「べっぷ駅市場」で、何故か懐かしい臭いのする場所です。
肉屋、魚屋、野菜屋、乾物屋など、スーパーにとって代わってしまった今日にとって、貴重な存在です。
細長い市場を、訳もなく端から端まで見て回るのでした。

 その先には「不老泉」があります。
明治のころからあったという「不老泉」は、明治、対象、昭和、そして平成の各時代に改装を重ねてきました。
源泉かけ流しの単純泉で、好みに応じてあつ湯とぬる湯を使い分けることができます。
コンクリートの建物でありながら、和風の雰囲気を意味出す佇まいです。

 再び駅に戻り、駅前の道を海側に歩いてみます。
ここに「駅前高等温泉」があります。
1924年に建てられた英国風の建物です。
こちらにもあつ湯とぬる湯があり、異なる2種類の温泉を楽しむことができます。
宿泊施設も備えており、低料金で魅力的です。
今度別府に来るときには、ここを予約して寝ても起きても温泉三昧したいものです。

 さらに海側に進みます。
右手に入る通りに、「竹瓦温泉横丁」の文字が掲げられています。
この先の「竹瓦温泉」へ通じる路地なのです。
ところが道はだんだん細くなっていき、左右に飲み屋が並び出します。
と思った時に、左手に古めかしい「竹瓦温泉」が顔を出したのです。

 旧別府港の賑わいに伴い発達してきた別府に、「竹瓦温泉」が開かれたのは1879年のことです。
地元の漁師が簡素な小屋を建て湧き出した温泉を楽しんでいましたが、温泉の効能が評判になると湯治客が大勢訪れるようになります。
当初は竹屋根葺き、その後改築されたものは瓦葺きであったため、「竹瓦温泉」の名が付きました。
現在の建物は1938年に建てられたもので、正面の唐破風造の屋根はひときわ豪華さを演出しています。
中には男湯と女湯の他に砂湯が楽しめ、2階は公民館として使われています。

 「竹瓦温泉」の1筋隣には、「波止場神社」があります。
七福神を倣って、7つの海の神々を集めて祀っています。
起源は割に新しく、1870年に着工した旧別府港の発展と海の安全を祈願して、日田県知事の松方正義が創建した神社です。
熊本地震の影響で崩壊の危険のある鳥居の下を抜けることはできませんが、脇を通って本殿まで進むことができます。
別府の港を見守っている小さな神社です。

 ここからは、海岸線に走る国道10号線に沿って北へ進みます。
やがて見えてくるのは、旧別府港を臨む「別府タワー」です。
東京タワー、名古屋テレビ塔、通天閣などを設計した内藤多仲の作品です。
1957年3に開催された別府温泉観光産業大博覧会の目玉施設として建設されましたが、資金繰りの遅れから開幕には間に合わず閉幕直前になんとか完成しました。
最初は電波塔としての利用が予定されていましたが、十文字原高原の十文字原テレビ放送所の完成に伴い、夢と終わりました。
「別府タワー」は100mの高さをもつ建物でしたが後にアンテナなどを取り外したため、現在の高さは90mとなっています。

 ここから別府駅に向かう途中、「海門寺公園」があります。
振り向くと「海門寺」、そしてその先には「別府タワー」を臨むことができます。
公園の角には「海門寺温泉」があり、ここにも温泉があるなんてさすが温泉の町 別府です。

 歩き疲れたのか、お腹が空いてきました。
本日の食事は、大分名物の「だんご汁」です。
小麦粉で作った平たい麺は、きしめんより平べったくてもちもちしています。
出汁の白味噌にコクがあり、美味しさが口いっぱいに広がります。
丼の中には野菜がいっぱいで、実に健康的な食べ物です。
それでいて値段が手軽で、嬉しい限りの大分の味でした。

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