にっぽんの旅 九州 宮崎 日南

[旅の日記]

日南海岸 

 本日の旅は、日南海岸をバスで巡る旅です。
宮崎駅からJR日南線で油津駅まで向かい、そこからバスに乗り込みます。
冬の時期の宮崎はプロ野球のキャンプ地のラッシュです。
12球団中7球団までもが宮崎でキャンプを行っており、それを見に来たファンたちで電車の中はいっぱいです。
駅に着くたびに一団が減って行き、最後まで残ってここ油津で降りたのが、カープのファンたちです。
ですから、車中は野球談議で盛り上がっていました。

 やってきたバスは、ごく普通の路線バスです。
ただでしか本数の少ないバスを使って、観光地で下車しては次の便に乗り込むことを繰り返します。
時間との闘いの時もあれば、次のバスまで時間を持て余す時もあり、一筋ならではいかないバス旅です。

 車窓からは美しい海が顔を覗かせます。
波に洗われた岩が帯状に並び、きれいな風景を生み出しています。

 最初に降りたのは「鵜戸神宮」です。
日向灘に面した断崖の中腹に、神社はあります。
次のバスまでは1時間位以上も時間があり、1ケ所の神社を巡るには余る時間をどうしようかと考えていたのでですが、バス停に降りるとその心配は吹っ飛びました。
バス停から神社までは、階段を登りトンネルを潜って参道を進まなければならないところでした。

 山幸彦が、兄が失くした釣り針を探しに龍宮(海積宮)を訪れたところ、その娘である豊玉姫命と深い仲になります。
山幸彦が龍宮から帰った後、身重になった豊玉姫命は子を産むために鵜戸の地に出向きます。
霊窟に大急ぎで産殿を造りますが、屋根を鵜の羽で葺き終わらないうちに子が誕生したという話が伝わっています。
岩窟の中に本殿のある場所が、産殿を建てた場所と言われています。
本殿が岩を浸食でくりぬかれた場所にあるように、外に出ても奇岩が並んでいます。
特に本殿前の海には、二柱岩と御舟岩の2つの岩が沖に向かって櫛状に並んでいます。
押し寄せる波はそれぞれの岩の隙間に分かれて、断崖に引き込まれていきます。
白波を上げて崖に叩きつける波を眺めているだけで、時間が過ぎてしまいます。

 さて乗り込むバスがやってきました。
バスに乗り、再び海岸線を走り続けます。

 次に降り立ったのは、青島です。
バス停の前から、浜に向かって「青島神社」の参道が延びています。
通りには土産物や果物が売られており、勧められるままにキンカンの一種の「たまたま」を試食します。
出されたのは小さな「たまたま」のうち、皮の一部を薄く削ったもの。
「なんだ、小さなたまたまのしかも皮のきれっぱしか、けち臭いなぁ」と心の中でぼやいてしまいました。
ところが口に含むと、これがとっても甘いのです。
いままで見向きもしなかったキンカンを、見直してしまいました。

 「青島神社」には、青島海岸から青島まで架かる「弥生橋」を越えて行きます。
島の周りの左右の海上には、「鬼の洗濯板」が広がっています。
「鬼の洗濯板」とは、波の浸食と隆起によって生み出された洗濯板のような棒状の岩礁の集まりです。
どこまでも続いており、その規模が大きく壮大な眺めが「鬼の洗濯板」と呼ばれるようになったのです。

 「青島神社」は彦火火出見命が龍宮から帰った際に、青島に上陸して宮を営んだことに始まります。
島には熱帯植物が群生しており、拝殿から奥にある元宮に続く通りも、熱帯植物の密林のなかを歩いているような場所です。
いまでこそ自由に参拝ができますが、江戸時代までは全島が禁足地とされていた神聖な場所だったのです。

 バスは宮崎空港を経由して、宮崎駅に進みます。
さて宮崎と言えばマンゴも有名で、驚くような高値の付くものもあります。
せっかく来たからには、思い切って美味しそうなマンゴを食べてみることにします。
手に入れたマンゴは値が張るだけあって、外は赤く熟れ中は黄色が眩しいもので、口に入れるとそれはそれは甘いものでした。
さすが宮崎のマンゴです。

 こうして南国宮崎の日南海岸のバス旅を終えたのでした。

 
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