にっぽんの旅 九州 鹿児島 与論島

[旅の日記]

南の楽園 与論島 

 今回は与論島への旅です。
旅といっても計画立てられた旅行ではなく、いま与論に来てしまったという表現が適切です。
魔の誘いは、昨晩のことでした。
「どこか行かない?」から始まった電話の結論が、与論島だったのです。
季節は春。3月末の少し肌寒い大阪にとって、沖縄は楽園に思えたのです。

 もちろん切符もなく、空港に行って乗れる便を探すところから始まりました。
そしてとりあえず、那覇に向かって飛び立ったのです。
何の準備もなく着いた沖縄での冷静に、先ずは腹ごしらえと入ったレストランは沖縄料理の店。
昼食だというのに、豚料理のフルコースを味わうことができました。
明日からの日程に不安を覚えつつも、とりあえず今晩の宿を確保し、沖縄の街を見て回ります。
国際通りは、外人がやたら目に付く異国情緒の漂う場所です。
少し前まではここもアメリカだったと感じさせられました。
ここで見つけたのが、バッファローステーキの店です。
さっき食事をしたばかりだとは思うのですが、沖縄ならでは?のステーキをほうばることにします。
先ほど乗ったタクシーの運転手が「メニューのなかで一番高いものは、店のシンボルだから値段の割には中身がない。2番目のものが一番お得。」と言っていたことを信じて、2番目に高いステーキを注文したのでした。

 翌日は、いよいよ与論島に向けて出発です。 フェリーに乗込み、そして途中からはハシケに乗換えての鹿児島県最南端の与論島です。
ところが港では見ず知らずの我々を、島の人たちが迎えてくれます。
これは都会にないものだと、胸が暖かくなりました。
ここ南国の島では、今までのあわただしさとは違って、時間がゆっくりと過ぎていきます。
私も自転車を借りて、のんびりと島を散策することにします。
財布と水着だけを持ち、自転車に飛び乗りました。
4月1日だというのに、ここではTシャツ姿で十分です。

 と、面白い情報を聞きつけたのです。
1年のうちで今日だけ、島が浮かび上がるところがあるというのです。
早速自転車を向かわせることにしました。
その場所、百合ヶ浜は水のきれいな遠浅の海岸です。
今日の数時間だけ沖合いに島が出没するとだけあって、島まで船がでていました。
ところがひねくれものの我々は、手漕ぎボートを借りて島に向かうことにします。

 海の上にわずかに出現した島は、星砂の宝庫でした。
さんご礁の死骸といわれる星型をした砂状の固まりは、取り方があります。
手を開いて砂浜に押し付け、それをゆっくりと上げるのです。
手のひらには星砂だけが落ちずに残っているのです。
これはおもしろい。時間の経つのも忘れて星砂採りに興じました。

 遊びつかれて寝ていると、今度は背中がひんやりしてきました。
そうです、島が沈む時間になったんのです。
再び手漕ぎボートに乗込み浜を目指すのですが、これが潮の流れが速くてなかなか進みません。
危ないとは聞いていたのですが、潮に流されることの恐怖を身をもって知ったのでした。
そして、与論島での暮らしは、3日間続いたのでした。

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