にっぽんの旅 九州 鹿児島 屋久島

[旅の日記]

手つかずの屋久島 

 ここは屋久島。
自然が残る鹿児島県の離島です。
今回は船の旅、船内で宿泊し必要なときに上陸します。
そして、瀬戸内海を通り太平洋に出てこの屋久島にやってきました。

 屋久島初日は、上陸してバスで移動できるとことを回ります。
最初に訪れたのは、島の南東に位置する「千尋の滝」です。
鯛ノ川から落差60mの滝で、豪快でもあり美しい姿です。
瀧の両側が巨大な花崗岩の岩盤で囲まれ、凹凸のない均一の傾斜で切り立っているところが美しさを作り出しています。
岩盤の大きさが1000人が手を結んだ大きいということから、「千尋の滝」と呼ばれています。

 その後は、屋久島を覆う屋久杉を見に行きます。
道路には、ヤクシマザルが出迎えてくれます。

 そして屋久島の杉の生態は、この「ヤクスギランド」で学ぶことができます。
「ヤクスギランド」は、標高1000m超に広がる自然休養林を鑑賞することのできる島内随一の森です。
森を巡る遊歩道コースを選び、周りの自然を見て回ることができるのです。
木々が生い茂り、出会った川には苔むしる石が転がっている中を、ひたすら歩きます。

 そのうちのひとつ「紀元杉」は、樹齢3000年を誇り屋久杉の中でも長老格です。
木の周囲の長さも、8.1mにもなります。
高さ19.5mの頂上付近は枯れたように見えますが、樹木自体は元気でまだまだ健在です。

 切り株に伐採更新によって世代交代する屋久杉ですが、1つの切株に2つの同じ大きさの枝が伸びている様から「双子杉」と呼ばれる木があります。
まだまだ若い木で他の屋久杉とは比べものにはなりませんが、この2本の珍しい姿から名物になっています。

 この日に取った食事では、器に普段見ない魚が盛りつけられています。
その魚はトビウオで、トビウオの唐揚げは屋久島の名物です。
胸びれを広げ、今にも飛び立ちそうな様子です。
1匹まるごと揚げたトビウオは、肉厚で淡白な味で美味しい魚です。

 そしてここからは鍾乳洞を巡ります。
洞窟の中は思った以上に低く、大きな身体では奥まで進むことができません。
ヘルメットをかぶっているから良いものの、頭がゴツンゴツンと鍾乳石に当たります。
その甲斐あってか、中の眺めは絶景です。
その後は観たいところは山ほどあるのですが、翌日に備えてその日は早めに船に戻ります。

 翌日は早朝に上陸し、屋久杉を見るために原生林が茂る森に入ります。
本日は10時間以上歩き回る、体力勝負の1日です。
トロッコの線路伝いに歩いて行きます。
このトロッコは間伐した枝やそのための資材を運ぶためのもので、めったに出くわすことはありません。

 「三代杉」「仁王杉」を越えてその先に見えてきたのは「翁杉」です。
樹齢2000年の「翁杉」は、周囲16.2mとこれから訪れる「縄文杉」に次ぐ大きさです。

※2010年に「翁杉」は、倒れてしまいました。
既に内部の90%が空洞化しており、重さに耐えきれなくなって折れたものとされています。


 「ウイルソン株」は、屋久杉の切り株です。
切られたのは、大阪城築城のためとも京都の方向寺のためとも言われています。
樹齢3000年の株の内部は空洞になっており、中に足を踏み入れることができます。
中から上を見上げると、切り株から見える明かりがハート形に見え、神秘的な光景です。
アメリカの植物学者アーネスト・ヘンリー・ウィルソン博士により調査されたことから、「ウイルソン株」と呼ばれています。

 さていよいよ屋久杉を巡るトラッキングも、終盤を迎えます。
樹齢3000年の「大王杉」、2つの幹の一方から出た枝が他方の幹に食い込んで、まるで手をつないでるように見える「夫婦杉」が続きます。
そして、その先に念願の「縄文杉」があります。
縄文土器の火焔土器に似ているということから、こう呼ばれるようになりました。
推定樹齢はなんと7200年で、世界最古の植物とされています。
屋久杉自体が植物の博物館なのに、この「縄文杉」はその中でもひときわ圧倒的な存在感があります。
早朝に出発し、ここまで5時間もかけて歩いて来た甲斐がありました。
しばらくは「縄文杉」を眺め、その後はこの大自然を傷つけることなく歩いて来た道を再び引き返したのでした。

 
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