にっぽんの旅 九州 鹿児島 奄美大島

[旅の日記]

奄美大島(名瀬で島料理) 

 今回は奄美大島の中心地、名瀬の食べ歩きです。
初期時まで時間がありますので、名瀬の町を巡ります。

 町の真ん中には昔ながらの市場が残っています。
観光センターが入っているAiAi広場ビルの裏手にあります。
「長田橋市場」で、通路の左右に10軒余りの店が並んでいます。
外に出て気付いたのですが、隣のビルにも市場の文字が。
数件の店が入っているひとつの建物が、市場の単位なのです。

 そして「長田橋市場」の入口には「教会発祥の地」の石碑が建っています。
ここには奄美大島におけるカトリック教会発祥の地なのです。
1891年にフェリエ神父がこの島を訪れます。
神父は伊地知武元宅に宿泊し、集まった島民に福音を述べました。
そして伊地知氏宅を仮教会としたのが、1892年のことでした。

 途中で奄美名産の「ミキ」を購入します。
牛乳のようなこの飲み物は米とさつまいもからできた発酵飲料で、ドロッとした半固形のものです。
冷やして飲むとのどごしが良い、美味しい飲み物です。

 それでは今の「名瀬聖心教会」を見に行きましょう。
名瀬最大の商店街「銀座通商店街」を越えて、市役所前の通りまでやってきます。
現在の教会は立派な姿をしたものです。
訪れたのは11月末、クリスマスの準備が行われています。

 ここからは「おがみ山公園」に向かいます。
おがみ山は100m足らずの山で、木々が生い茂り散歩気分で歩き回ることができます。
うまくいけば、珍しい鳥にも出会うことができます。
ところが、山頂まで登るには少し根性が要ります。
まわりの木々を見ながら歩くのですが、道の脇の草むらがザワッと音がするたびに、ハブではないかと気になって仕方がありません。
それでも山頂まで行くと、すばらしい眺めが待っています。
名瀬の市街地を見渡すことができたのです。

 それでは山を下りて、港の方に歩いてみます。
「くれないの塔」への入口に近いところに、「白糖工場跡」の看板が立っています。
「くれないの塔」は、人命救助のために飛び立った海上自衛隊のP2Vが起こした事故を弔うために建てられたものです。
一方の白糖工場は、四国の白糖に対抗してこの地に造った工場です。
イギリスから製糖機械を取入れて、島内4カ所に造った工場のうちのひとつです。
いまや看板でしかその事実を確認するすべはありませんが、黒糖そして白糖で成り立ってきた奄美の歴史を知ることができます。

 さらに歩いて行きます。
「奄美観光ハブセンター」という文字が地図にあるので、訪れてみます。
地図で示す場所には、間口は小さな土産物屋です。
中に入り、レジのところで入場券を購入します。
ハブはハブ酒などが売られており、ハブが展示されているのは地下室です。
この小さな商店で猛毒をもつハブの管理体制は大丈夫なの? と思いながら恐る恐る展示階に降りて行きます。
地下には水槽に様々なハブが飼育されています。
ハブを正しく理解しようと来たものの、薄暗く不気味なハブを見てますます恐怖が増したのでした。

 さてここからは、車を借りて少し移動をします。
「田中一村終焉の家」は、奄美の自然に魅せられこの地に移り住んだ一村の家です。
息を引き取るまで、奄美の自然を描き続けました。
一村がそれまで住んでいた借家からこの家に移ってきた時には、御殿のようだと喜んだそうです。
敷地内にはガジュマルが、そしてそこから出たところある島バナナは実をつけており、ちょうどいまが食べごろです。

 もう1ヶ所回りたいところがあります。
ちょうど日も暮れる時間帯なので、急いで向かいます。
向かう先は「大浜海浜公園」です。
ここは夕日スポットで有名なところで、是が非でも日が暮れる前に着く必要があります。
ところが名瀬港から小宿までの区間が、夕方のラッシュ時間帯ともなれば車が動きません。
予定では日没10分前には着くはずですが、やきもきするのでした。
なんとか渋滞も抜け出し、公園に着いたのはぎりぎりの時間。
ところが空には雲がかかり、綺麗な夕焼けとまではいきません。
それでも東シナ海に沈む夕日は、ばっちり写真に収めることができたのでした。

 いよいよ日が暮れて、夕食の時間になりました。
奄美の美味しいものを食べに行きましょう。
居酒屋でカウンターに通されると、地元の人、旅行者とまるで昔から知っていたの如く打ち解けたのでした。
それだけでも美味しい酒なのに、奄美の料理が次々と出てきます。

 つきだしで出てきたのは、トビンニャ貝と島ラッキョウなどが盛られた小鉢です。
トビンニャ貝はマガキガイの島での呼び名で、爪が付いていますのでそれを掴んで身を引き出していただきます。
塩味が付いていますので、そのままで食べることができます。
一方の島ラッキョウはちょっぴりピリ辛で、酒のあてにはピッタリです。

 刺身は醤油ではなく、酢味噌をつけていただきます。
味噌はソテツのでんぷん質を使用して作ったもので、島の食材がフル活用されています。
もちろんマグロと鯛、タコは獲れたての新鮮なもので、それにイギスと呼ばれる海藻を固めたものが付いています。

 そして豚足は、島の言葉で「ウファーハギ」と呼ばれるものです。
豚足を黒砂糖でじっくり煮たもので、実が柔らかくとろけるようです。
その他に豚肉とフダンソウ、ツワブキ、タケノコを蒸した「ウワンフネ」、冬瓜が入ったアオサ汁、そして鳥のもものひらき、鶏飯など、島料理も出てきます。

 そして忘れてはならないのが、「黒糖焼酎」です。
「黒糖焼酎」は、奄美諸島だけで製造が許されているものなのです。
こんな貴重なものを飲まずに帰るわけにはいきません。
馴染みがないものですから、同じカウンターの客に聞いて勧められたのが徳利に入った「弥生」です。
何やら高級そうで、コップ受けのような小さな皿にいれた一粒の氷に焼酎が注がれます。
後で調べてみると、普通のものとは1桁高い値段が付いていました。
飲み放題メニューなので値段は気にしていなかったのですが、良い選択だったようです。
その後は隣の客が自分の焼酎を飲むよう勧めるので、「弥生」とは違う別の焼酎瓶が目の前に置かれたのでした。

 お腹いっぱいで外に出ると、何やら騒がしいのです。
音のする方に吸い込まれていくと、やんご通りでは祭りが行われていました。
テンポの良い三線と唄で、通りは盛り上がっています。
こうして、この夜はずいぶんと飲み過ぎてしまったのでした。

     
旅の写真館