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[旅の日記]

鹿児島の北海道と呼ばれる伊佐 

 鹿児島県に来ています。
今回の行先は鹿児島県北部で熊本と宮崎の県境にも近い伊佐市です。
交通の便が悪いところですので、車で移動します。

 鹿児島空港から最初に向かったのは、JR肥薩線の栗野駅です。
駅の近くには、「丸池湧水」があります。
日本名水百選のひとつに選ばれている丸池は、日量約6万トンの水が湧き出しています。
水は限りなく澄んだ透明で、底が手に取るように見えます。
そのなかを小魚がせわしなく泳ぎ回っています。
真夏の暑さが残るこの季節でも水は冷たく、町の生活用水にも利用されています。
池に向かってポカっと眺めながら、休憩をしてしまいます。

 ここから先は30分ほど車で走りますので、どこかで食事を取ることにしましょう。
駅を超えたところの道路沿いに、小さな食堂があります。
店内の各テーブルには、外に植えている草花をコップに差して飾ってあります。
定食にはうどんがついてくる、うどん一押しで落ち着くことのできる店でした。

 お腹も満たして、車は次の目的地である「曽木の滝」を目指します。
後ろを見ると、霧島の山並みが広がっています。
「曽木の滝」へは道なりに進めば良いので、気が楽です。
周りを見ながら、車を進めます。
ところがここで虫の知らせがありました。
カーナビはまっすぐ進めと指示しているのですが、どうも様子が違います。
スマホを開くと、地図では案の定左側に「曽木の滝」が見えています。
そうです、カーナビでうまく目的地が登録できなかったので、伊佐を指示したのでした。
伊佐の市街地が真直ぐということがわかり、車は既に「曽木の滝」の近くまで来ています。
早く気づいて良かったです。


 「曽木の滝」には立派な駐車場があり、車の置き場所には困ることがありません。
車を降り滝の音がする方に向かって歩いていきます。
と、突然目の前に広大な滝の姿が現れたのです。
むき出しのあらわな岩肌に、白波をあげて水が落ちていきます。
そして何よりも1箇所ではないその壮大さに驚かされます。
左右3か所に大きな流れがあり、それぞれに荒々しさがあります。
川から突き出した滝の下を眺めるための展望台も備わっており、水の流れを間近で見ることができるのです。

 滝の近くには神社があります。
「清水神社」で、縁結びや安産にご利益がある神社です。
インスタ用でしょうか、境内にはハートの置物もあります。
絵馬もハートの形で、願い事が書かれたものが拝殿横に吊るされています。
実は水路のためのトンネルとなっている水神碑がこの近くにあったのですが、不覚にも寄ることを忘れてしまいました。
次回再び来る機会があれば、今度こそ立ち寄ってみたいものです。

 いつかは訪れてみたかった「曽木の滝」に来れたことで満足です。
それならばと滝にちなんだもう1箇所の場所に行ってみます。
それはここから車で5分ほどの「曽木発電所遺構」です。
道路は滝から続く川内川に架かる綺麗な吊り橋を渡ります。
その先に「曽木発電所遺構」はあります。

 駐車場に車を止めて外に出ると、遺構までの道の入り口に「薬草の社」があります。
伊佐自体、多くの薬草が自生しており、怪我や病気の対処や健康維持に役立ってきました。
野草薬草をつかった健康まちづくりとして造られたのが、この「薬草の社」です。

 その奥に「曽木発電所遺構」の見える丘に出ます。
川内川の対岸に、その発電所はあります。
1909年に竣工し、当時は日本で最大級の発電所でした。
6,700kWの電力を作り出し、余剰電力を使ったカーバイト生産を水俣で行い。このことは後に発電所が日本化学工場発祥の地と言われる所以です。
1965年の鶴田ダムの完成とともに水の底に沈むことになりましたが、夏季の時期だけはこの建物が姿を現わすのです。
いまでは煉瓦壁の一部が残っているだけですが、かつての面影を秘めています。

 さて「曽木の滝」にまつわる2つの景観と遺構を見る夢を果たし、ここからは霧島温泉に向かいます。
鹿児島と言えば黒牛に黒豚、これらを存分に味わったのでした。

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