にっぽんの旅 九州 鹿児島 指宿

[旅の日記]

指宿温泉 

 鹿児島の「指宿(いぶすき)」、難解な読み方ですが有名な温泉地でもあり、迷わず読むことのできる人も多いのではないでしょうか。
先ずは、指宿の1駅北にある「二月田」に向かいます。
JR指宿枕崎線は、電車がレールから飛び出るのではないかと疑うほど、上下に激しく揺れます。
なんと電子式の万歩計までもがカウントを始め出しました。
ただ海岸線に沿って走る車窓は、飽きさせない眺めです。

 「二月田」でまず向かったのは、「揖宿神社」です。
「指宿」とは文字は違うのに、同じ「いぶすき」と呼びます。
天智天皇御滞興の縁の地として、706年に建立されました。
指宿の総鎮守として島津家とも信仰が深く、現在の社殿は1847年に第27代藩主斉興が建造したものです。

 「揖宿神社」から5分ほど歩いたところに「二月田温泉 殿様湯」があります。
島津氏の行館は第19代島津光久の時に、これまで摺ケ浜にあったものを廃止し、長井ノ湯を建てます。
第27島津斉興が長井ノ湯に来た時には、二月田の湯のことを知り、1828年には仮の行館を設けます。
そして1831年には、本格的に行館をこの地に移したのです。
殿様が入るため、「殿様湯」と呼ばれるようになります。
浴場は山川石の石畳で作られており、湯は4つの湯つぼを順にまわり、最後には適温になるように作られています。
代々の薩摩藩主が利用した湯つぼの横には、新しい「殿様湯」が造られています。
こちらは一般に開放されている銭湯で、湯船には島津家の家紋が残っています。

 「殿様湯」の南には、温泉鎮護の神として大己貴命と少彦名倉を祀る「湯権現」があります。
長井ノ湯から二月田の湯への行館の移転に伴い、この「湯権現」もこの地に移されたものです。

 さていよいよ指宿に向かいます。
1時間に1本の電車は都合の良いものがなく、たまたま来たバスに飛び乗ります。
バスで10分余りで、指宿駅前に着きます。
駅前の商店街はひっそりとしており、開いている店を探すのに苦労するほどです。
商店街を浜の方に歩いて行きましょう。
海に向かって右手の南側には、摺ヶ浜温泉の建物が見えます。

 摺ヶ浜温泉、弥次ヶ湯温泉、二月田温泉などを総称した呼び方が指宿温泉です。
砂むしの名所として知られ、浴衣を着て寝転び、地熱で温められた砂をかけて埋まった状態になって蒸される風呂のことです。
さすがに真冬のこの時期に砂むしに入る勇気はなく、今回は遠慮させてもらいます。
その代り指宿駅まで戻り、足湯に浸かることにします。
駅のロータリーの片隅にあり、観光で訪れたと思われる外国人が物珍しそうに眺めています。
今回は足湯に来ることを予想し、タオル持参の旅です。
さすがに外は寒く、温泉に浸かっている足以外はジャンパーを着て背を丸めた状態です。

 足湯の後は、鹿児島の美味しいものを食べます。
酢みそで食べるきびなごは、コリコリしていて酒に合います。
そして熱々のさつま揚げは、フワッとした柔らかの食べ物です。
そのほか、まぐろの目の部分を煮込んだものなど、どれも美味しいものばかりです。

 そして本日の最後は、JRが誇る特急列車「指宿のたまて箱」で帰ることにします。
黒と白の奇抜な車体に対して、中は木を基調にした社内装飾です。
座席は海方向に向いており、海を眺めながらの電車の旅ができます。
車両が良いのか、来たときに感じた上下の激しい揺れは、さすがに低減しており、快適な乗り心地です。
こうして鹿児島中央への帰路に着いたのでした。

   
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