にっぽんの旅 九州 福岡 博多

[旅の日記]

博多の夜景 

 今日は、九州の大都市 博多に来ています。
到着したばかりですが、どうしても食べたかった「博多ラーメン」です。
昼遅くなってしまいましたが、美味い「博多ラーメン」の店を探すことにします。

 入ったところは、豚骨スープとストレートの極細麺である「博多ラーメン」を忠実に再現した店です。
豚骨のゼラチンが溶けだしたどろっとした味が、自分好みです。
一緒に頼んだチャーハンもラーメン屋のチャーハンらしく、パサパサながらスープの味が浸みていて旨いものです。
無言でラーメンを啜り終え、博多の町を責めるための戦闘準備は万全です。
すでに時刻は夕方前で、夏場であればまだまだ陽が高いのですが、やがて12月になるうとするこの時期は日暮れ直前です。
急いで博多の町を巡ることにします。

 地下鉄の祇園駅の近くには「東長寺」があります。
弘法大師(空海)が、日本で最初に開いた寺院です。
大仏殿の「福岡大仏」は木造の坐像としては、日本最大級の大きさを誇るものです。
境内には、六角堂や五重塔などもあります。

 それではここから中州方向に歩いて行きます。
途中、ホテルの立ち並び博多にあって、旅館が並ぶ場所があります。
そういえば30年前に仕事で博多に来たときに2ヶ月ほど泊まっていたのがこのような旅館で、場所こそ覚えていませんが家庭的で過ごしやすかったことを思い出します。

 「櫛田神社」は、その先にあります。
「博多祇園山笠」の祭事を行う神社でもあります。
「博多祇園山笠」については祇園大神を勧請したのが941年のことで、このころ京では既に祇園祭の前身の御霊会が行われていました。
1241年の疫病除去のために祈祷水を施餓鬼棚に乗って撒いたのが、「博多祇園山笠」の始まりだと言われています。
これが災厄除去の祇園信仰と結びついて、山笠神事として発展したとされています。
境内には山笠が飾られており、祭りの期間以外で山笠が飾られているのはこの神社だけです。

 「櫛田神社」の近くには「博多町田ふるさと館」があります。
ここは明治20年代に博多織元の住居兼織り場として建てられた町家を、移築し復元したものです。
明治、大正の博多の歴史や文化に関する展示が行われており、「博多祇園山笠」のビデオも放映されています。

 さて日も暮れてしまいましたので、少し早いのですが夕食にします。
博多の名物と言えば「もつ鍋」が有名です。
その「もつ鍋」を注文し、待つ間にビールとつまみを頼みます。
「辛子明太子」は博多が誇る食べ物で、ピリッと効いた辛味がお酒に、そして熱い白ご飯にも合います。
次に牛の酢モツと「おきゅうと」が出てきました。
「おきゅうと」とは初めて食べたものなのですが、海藻のエゴノリを加工し固めて薄く切ったものです。
酢の味が効いていて、ネギを振りかけて食べます。
感心しながらつまんでいると、待ちに待った「もつ鍋」がやってきました。
もつの他にも味噌味のスープで煮込んだネギ、玉葱、キャベツ、豆腐の上にニラが並んでいます。
そしてその上には七味がふりかけられており、自分好みで溶かす量を調整して味を整えます。
口に含むと身体全体が温まるとともに、お酒がさらに欲しくなります。
出汁の中からは隠れていたもつが出てき、見た目以上にたくさんのもつを頂きことができます。
そして最後にはうどんかご飯を選ぶことができ、今夜はおじやで締めることにします。
もうこれだけで、おなかいっぱいになってしまったのでした。

 これから名物の中州の屋台を眺めに行きます。
本当は屋台でラーメンでとも思っていたのですが、今に至ってはおなかにそんな余裕はありません。
博多川沿いに並ぶおでんやラーメンの屋台を、見て回ります。
どの店も席はいっぱいで、本気で味を楽しむのであれば早めに出かけなければ座れないかもしれません。
中州新橋から中州方向を眺めると、ネオンが水面に映り揺られて見えます。
それを横目で見ながら博多川を越え中州に、さらに那珂川を越えて天神の方に向かいます。
ここから西鉄の天神駅に向かう途中に、歴史的建造物が2つ建っていますので、そこに向かいましょう。

 那珂川の川辺にある中央公園には「旧福岡県公会堂迎賓館」があります。
九州沖縄八県連合共進会の開催に際し、接待場所として造られたものです。
その後は福岡高等裁判所や県立水産高等学校、福岡県教育庁舎として使われてきました。
昼間であればルネッサンス様式の洋風の建物全体が、もっとはっきり見えるのではないでしょうか。
そして「旧福岡県公会堂迎賓館」横の那珂川では夜景を眺める遊覧船が出ており、案内のアナウンスが流れています。
今回は遊覧船には乗らずに、もうひとつの建物を見に行くことにします。

 その先に、2つ目の建物である「福岡市赤煉瓦文化館」があります。
日本生命保険株式会社九州支店として1909年に竣工したもので、ドーム塔を備えた煉瓦造りの建物は19世紀末の英国様式を取り入れています。
日本生命として役目を終えた後は歴史資料館として活用された後に、1994年からは赤煉瓦文化館として利用され1階部分は図書館が開設されています。
翌朝には再び陽の光を浴びた「福岡市赤煉瓦文化館」を見に行ったのですが、暗闇に浮かび上がる夜景の美しさに惹かれてしまったのでした。

 中州、天神を歩き回り、ホテルのある博多に戻ることにしましょう。
そして、ここから先は別の季節、別の日に博多を訪れた時のものです。
天神の1駅先の赤坂駅からのスタートです。

 赤坂駅から5分ほどの「舞鶴公園」のなかに、「福岡城跡」があります。
豊前国中津から筑前国福岡に移封した初代藩主黒田長政が、1608年に築城した城です。
別の名を「舞鶴城」とも言います。
天守閣をもたない平山城ですが、大小さまざまの天守台と47の櫓がありました。
本丸、二の丸、東二の丸、南二の丸、三の丸で構成された広大な城郭です。

 ここからは、海の方に向かいます。
「長浜鮮魚市場」を越えて進んだところに、「博多港」があります。
港としては比較的新しい方で、1899年に開港したばかりです。
この「博多ふ頭」からは、対馬、五島などの国内航路に加えて、韓国釜山までの国際航路が出ています。
港にはた内藤多仲が手掛けた「博多ポートタワー」もあります。
内藤多仲といえば、東京タワーや名古屋テレビ塔、2代目通天閣などを設計した俗にいう塔博士です。
全高100mの塔で1964年に竣工したものです。

 そして今回のお土産は、甘い白あんが入った饅頭「ひよこ」、それにそれより柔らかい皮で包まれた「通りもん」です。
どちらも欲しいのならば、両方買ってしまいます。
明太子やラーメンだけでない博多を味わった旅でした。

     
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