にっぽんの旅 近畿 大阪 千日前

[旅の日記]

千日前筋 

 本日は鶴橋から難波まで、千日前筋を歩いてみましょう。
焼肉の臭いが町中に漂う鶴橋を後にして、千日前筋を西へ西へと歩いて行きます。

 上本町を越えその先を進んだところに、「生國魂(いくたま)神社」があります。
神武天皇が難波碕に、日本列島そのものの神である生島大神・足島大神を祀って国家安泰を祈願したことが、「生國魂神社」のはじまりです。
1496年には蓮如がのちの石山本願寺となる草庵を、大坂城の詰之丸(現在の天守閣周辺)に造ります。
1580年の石山合戦で焼失してしまいますが、豊臣秀吉による大坂城築城に伴い1585年には現在の場所に社殿を造営されたのです。

 ここから少し西に進んだところには、「国立文楽劇場」があります。
そういえば、先ほどの「生國魂神社」の敷地内には「浄瑠璃神社」が鎮座していました。
「国立文楽劇場」という名前ですが、人形浄瑠璃だけでなく落語や歌舞伎も上演されています。

 西に進むと日本橋、難波と続きます。
お腹も空いてきたので、店を探します。
ちょうど「どて焼き」が食べたなり、居酒屋風の店に入ってみます。
真昼間なのでまさか飲んでいる人などいないと思ったものの、店の中は満員の状態です。
カウンター席が1席空いており、そこに誘導されます。
酒を注文しなければならないような雰囲気の呑まれて、とりあえずはビールを注文します。
煙草の煙が目に染みます。
座ったところは特等席?のようで、近くのスピーカーからはラジオの競馬放送が流れ、競馬新聞を持った人々がこの辺りに陣取っています。
そう忘れてはいけない、ここは大阪だったのでした。

 味噌味の「どて焼き」は、牛のすじ肉を時間をかけてじっくり煮込んだらしく、柔らかくて味が浸みています。
これでは昼からでも人が集まるはずです。
壁に貼られた短冊状のメニューを眺めていると、これまた珍しいものを見付けました。
早速注文したのは「鯨のたたき」です。
「はりはり鍋」など鯨文化の深い大阪ですが、手に入りにくくなった今でも鯨は健在です。
甘味さえ感じるたたきは、柔らかくて美味しいものでした。

 さて難波近くの御堂筋まで出ると、ここからは少し南に逸れて千日前商店街を進みます。
夫婦善哉で有名な「法善寺」があるからです。
この辺りを「法善寺横丁」といって狭い通路に飲食店が並ぶ場所だったのですが、かつての火災で整理されています。
周りの建物は新しくなったものの、昔の面影は残っています。
琴雲の開山である「法善寺」は宇治郡北山村にあったのですが、中誉専念が1637年にこの地の土地を買い取り移転してきました。
参拝者が願いを唱えて水をかける不動明王は苔生して、「水かけ不動」の名で親しまれています。

 さらに南に進むと、お笑いの大阪の町らしく「吉本新喜劇」の本拠地である「なんばグランド花月」があります。
お笑いがいまや立派なビルになっています。
入口では着ぐるみが記念撮影に応えています。

 千日前商店街は、その先は道具屋筋と名を替えます。
ここには、店を開くときの道具なら何でもそろっている不思議なところです。
看板、提灯、暖簾から、食器、調理道具など、ここにないものはありません。
さすが大阪の町らしく、どの店にも決まって店頭に飾られているのはたこやき器なのです。

 さて夜は、大阪が生んだ鍋の「しゃぶしゃぶ」です。
超薄切りの肉を箸で摘みながら鍋に潜らせ、しゃぶしゃぶとふた泳ぎさせたものをごまだれに浸けて頂きます。
食べ放題の「しゃぶしゃぶ」で、お腹を200%に満たしたのでした。
春の陽気の誘われて、庶民的な臭いの漂う大阪の町の散歩だったのでした。

   
旅の写真館(1) (2)