にっぽんの旅 近畿 大阪 中崎町

[旅の日記]

中崎町と十三 

 梅田から1駅、大阪の都会の真ん中にあって戦火を免れたところがあります。
そんな「中崎町」を、本日は探索します。

 梅田(大阪駅)からは、阪急東通り商店街を歩きます。
大阪のネオン街らしく、怪しい雰囲気の店が雑居する通りです。
東の方に阪急東通り第1商店街、第2商店街と進み、そこで北に進路を変えて阪急東中通り商店街と進みます。
都島通りと交差する辺りが、中崎町の駅です。
駅の北側が、戦前の古民家が残る地区です。

 町の中には細い路地が通っており、すぐそばの梅田のビル街からは想像ができない異次元の空間です。
長屋が今も残っていたり、タイル張りの壁に瓦屋根の当時としてはモダンな造りの建物があったり、戦前の遺物が並んでいます。
なぜ中崎町が近年注目されるようになったかというと、そんな古民家を利用した雑貨屋や古着屋が軒を並べだしたからです。
それも若者が中心に出店し、ファッションタウンとしての小さなブームが起こっているようです。
現に町を歩いていると、スマホ片手に店を探す若者を多く見かけます。
ただ道路が直線でなく、また十字に交わっている交差点も少ないため、どちらに向いて進んでいるのか判らなくなってしまいます。
急ぐこともなく、この狭い地区を散策して回るのも楽しみのひとつです。
町としては活気を取り戻したのでしょうが、生活圏を脅かされている感もあり、両手を広げたぐらいの広さの路地では「この先に店はありません」の立て看板を目にすることもあります。
住民の邪魔をしない範囲で、ノスタルジックな町をしばし味わってみます。

 いろいろな建物と店に触れた後は、これまた庶民の町「十三(じゅうそう)」まで、足を伸ばします。
梅田から阪急電車で1駅のところです。
わざわざ十三まで来た理由は、ここに「ネギ焼き」の発祥の店があるからです。
店には行列ができており、席に付くことができたのでは並び始めてから1時間以上経ってからのことでした。

 カウンター席に付くと、注文したものが出てくるまでの間、中で店員が焼いている様子を見て時間をつぶします。
鉄板の上でお好み焼きのような生地を広げ、その上に生地が隠れるほどの山盛りの九条ネギを乗せます。
お好み焼きでいうキャベツに当たるのが、このネギです。
そしてその上に具を加えて、焼いていきます。
今回は、店で一番人気のすじネギ焼きを注文します。
残念ながらネギが満載の調理風景はカメラを向けることが許されず、焼けて席の前の鉄板に乗せられたものを撮影します。
すじ肉とこんにゃく、そして大量のネギが生地の間から見えます。
味付けは醤油とレモンで、通常のソース味のお好み焼きに較べるとあっさりしています。
1枚食べるだけで、結構お腹に溜まるものです。

 古くごみごみした十三でしたが、十三西口の大火災に対する復興で今まさに町は様変わりしようとしています。
戦前の景色が残る中崎町に、なぜか重なってしまう以前の十三でした。

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