にっぽんの旅 近畿 奈良 法隆寺

[旅の日記]

斑鳩の里 法隆寺 

 本日は、斑鳩(いかるが)の旅です。
斑鳩と言ってもピンと来ない人もいるかもしれません。
JR法隆寺駅に来ています。

 駅の名が示すように「法隆寺」で栄えた町です。
別名を「斑鳩寺」と呼ぶ聖徳宗の総本山である「法隆寺」を訪ねます。
まずは腹ごなしと、途中の店に立ち寄ります。

 吉野が名産の「柿の葉寿司」ですが、奈良県では広く食されています。
その「柿の葉寿司」を注文します。
柿の葉っぱに包まれた握りずしは、鯖、海老、鮭、穴子、鯛をネタにした上品な味です。
柿の香りが酢飯になじんで、魚臭さのない食べやすいお寿司になっています。 野菜の付け合せ、そうめん、葛餅と一緒にいただきます。
熱い外の熱気に較べて、店内は快適そのものです。

 しかし、その快適な時間も長くは続きません。
今日の目的は、斑鳩の散策なのですから。
お店から「法隆寺」の「南大門」までは、200mほどです。
しかし真夏の太陽が、容赦なく照りつけてきます。

 参道には、柿の葉寿司や柿うどんのほかに、奈良漬の店も並んでいます。
冷やかしに覗きながら、先を進みます。

 「南大門」を抜けると、両側を土壁で囲まれた広い通りが続いています。
左右には「宝光院」「護摩堂」が配置され、その先に西院伽藍への「中門」が構えてます。
「中門」は、飛鳥時代に造られた入母屋造の二重門で、左右には奈良時代に造られた金剛力士立像を安置しています。
「法隆寺」は、601年に聖徳太子がここ斑鳩の地に斑鳩宮を開いた際、この近くに建てられた寺です。
正岡子規が「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」と詠んだことでも有名な、あの「法隆寺」です。

 「中門」の西側から西院伽藍の中に入ります。
正面には「五重塔」そしてその隣に「金堂」、奥には「大講堂」が位置しています。
「五重塔」は、木造五重塔として現存する日本最古の貴重なものです。
32.5mもの高さを誇ります。
初重から五重までの屋根の大きさが異なり、上に行くほど小さくなるその逓減率の高いことが、この建物の特徴でもあります。

 一方「金堂」は、入母屋造の二重仏堂の建物です。
ここは、「法隆寺」のご本尊を安置する聖なる殿堂で、飛鳥時代の金銅薬師如来坐像、そしてられた日本最古の四天王像が安置されています。
金銅薬師如来坐像の光背銘には「用明天皇が自らの病気平癒のため伽藍建立を発願したが、用明天皇がほどなく亡くなったため、遺志を継いだ推古天皇と聖徳太子があらためて推古天皇15年(607年)、像と寺を完成した」という趣旨の記述があります。

 「大講堂」は、仏教の学問を研鑽したり、法要を行う施設です。
925年に落雷によって焼失したものの990年には再建されたという、再建後も1000年の歴史を感じる尊い建物です。

 西院伽藍の東側の鏡池の淵に、「聖霊院」はあります。
僧侶の住居で、平安末期の作である聖徳太子の尊像が安置されています。

 「聖霊院」の東隣には、高床式の宝物庫である「綱封蔵」が残っています。
そしてその奥の「大宝蔵院」に、多くの宝物が現在は保管されています。
最近建築された「大宝蔵院」ですが、目新しい建物の中には白鳳時代の夢違観音像、飛鳥時代の玉虫厨司、中国から伝えられた九面観音像などが、展示されています。

 「東大門」を抜け、東大寺に東西に走る通路を東へ進みます。
ここも土塀で囲まれた東院伽藍へ続く道です。
「律学院」を左手に眺めながら、東院伽藍へと進みます。

 「四脚門」を入ると、そこは東院伽藍の廻廊です。
回廊の真ん中に「夢殿」は、あります。
斑鳩宮の行信僧都という高僧が739年に築いた寺が「上宮王院」です。
そしてその寺の中心となる建物が「夢殿」です。
八角形の円堂で、飛鳥時代の聖徳太子の秘仏救世観音像が、ここに安置されています。
廻廊の外には「鐘楼」も備え、西院伽藍ほどの派手さはないものの、聖徳太子を供養するに値する神秘的な雰囲気を漂わせています。

 東院伽藍も見終えて、ここで再び西院伽藍まで戻り、その西側の「三経院」を訪れます。
先ほどの「聖霊院」とは西院伽藍を中心に左右対称に建てられたものです。
そしてその奥の小高い丘には、八角造りの円堂があります。「西円堂」です。
奈良時代に行基菩薩が建立したと伝えていますが、現在の建物は鎌倉時代に再建されたものです。

 じっくりと「法隆寺」を巡り、暑さにも打ちひしがれた後に、追い打ちをかけるようにもう1つお寺を巡ります。
それは、ここから2kmほど離れたところにある「法起寺」です。
606年に聖徳太子が法華経を講設されたと言われる岡本宮を、寺に改めたものです。
四天王寺、中宮寺とともに、聖徳太子建立の7カ寺のひとつに数えられています。

 先ほどの「法隆寺」とは打って変り、こちらは物音ひとつ立たない静かな農村に、ぽつりと立つお寺です。
通りから中に入った狭い通路に、目立たないように拝観入り口である西門が建っています。
中に入るとは、右手に蓮の花が満開の池、左手には「聖天堂」そしてそのさらに左に「講堂」があります。
正面奥には「三重塔」がそびえており、この寺のシンボルとなっているのです。

 今日一日、斑鳩の地を散策して、はるか遠くの飛鳥時代の建物を観てきました。
何度も訪れた地ではあるものの、改めて当時の様子を少しでも感じることができたのでした。

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