にっぽんの旅 近畿 奈良 屯鶴峯

[旅の日記]

屯鶴峯 

 奈良に面白いところがあると聞いたので、訪れてみます。
近鉄南大阪線の上ノ太子駅から歩くこと40分、穴虫峠を越えた線路沿いの道路脇に「屯鶴峯(どんづるぼう)」の入り口はあります。
石段を登ると、その先には真っ白の岩肌が広がります。
多くの鶴が屯(たむろ)しているように見えることから、「屯鶴峯」と名付けられました。

 「屯鶴峯」は、「二上山」の火山活動による山岩屑が沈積し、隆起によって露出した凝灰岩が風化・浸食による奇妙な形状になった場所です。
周り一面白い塊の岩で覆われています。
流れ出す火山の溶岩のように、岩肌には美しい筋模様がついています。
足を滑らさないように、ゆっくりと歩きます。
だって転んでしまえば、おろしがねの上で草すべりをするようなものですから。

 奇妙な「屯鶴峯」ですが、戦時中には複雑な防空壕が造られたことでも有名です。
陸軍が航空部隊の戦闘司令所としたものだということです。

 不思議体験の「屯鶴峯」の次は、電車で當麻寺(たいまでら)駅まで進みます。
途中、「二上山」の滑稽な姿が顔を覗かせます。
「二上山」は大阪府と奈良県の県境に位置する、2つの山頂をもつ双耳峰です。
今は死火山の「二上山」も、先ほど訪れた「屯鶴峯」を形作るほどの大爆発を、2000万年前には行っていたということです。
子どもの頃の雪が積もるなかの耐寒遠足が、毎年「二上山」で行われていたことを思い出します。

 さて、當麻寺駅から徒歩で15分余り、その名の通りの「當麻寺」がここにあります。
7世紀創建の寺で、聖徳太子の異母弟である麻呂古王が開基とされています。
そして、この地に勢力をもつ当麻氏の氏寺とされてきました。
またこの地は、大和国から河内に抜ける竹内街道と大坂道の分岐点でもありました。
竹内街道が二上山の南を通るのに対し、大坂道は二上山の北の先ほど通ってきた穴虫峠を通るルートです。

 仁王門を入ると、日本最古と言われる鐘楼があります。
その先には中之坊、さらに先の左右に講堂と金堂が配置され、正面に本堂が構えています。
奥の階段を登って行くと、浄土庭園です。
訪れた時は牡丹が満開で、赤い豊かな花が一面に広がっていました。
しかし有料の牡丹よりも、この時期ひときわ紫がまぶしい藤の花の方がきれいだと思ったりもするのでした。

 
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