にっぽんの旅 近畿 京都 園部

[旅の日記]

立派すぎる校門をもつ園部の高校 

 京都で用事を終え、休日の昼なのにこれから帰るわけにもいきません。
駅には園部行きの電車が、止まっています。
園部といえば京都駅から30分余り、そんな園部に急遽向かうことが決まったのです。

 JR園部に着き昼食を取ろうとするのですが、駅前には食堂らしきものがありません。
駅の反対側に1軒だけ空いている店を見付け、食事を取ります。
ここから園部の町中までは2km余り。
ちょうどバスが発車しようとしていますので、飛び乗ります。

 目的は「園部城」跡、どうやら園部高校が園部城のあった場所らしいと聞くものの、なぜ高校が?と疑いながらやって来たのでした。
聞いていた通りに、「園部城」跡に向かう石段を登った先にある櫓門が「府立園部高等学校」の正門になっています。
城の門を正門に構えるそんな高校が、本当にあったのです。
天守閣は存在しないものの、正門を入るとすぐ左に巽櫓がそびえており、まさに城跡にある高校なのです。

 但馬国出石城より移封された小出吉親が約3万石を有する園部藩の藩主となったのは、1619年のことです。
小出吉親の居住地として山麓にこの御屋敷を造るのですが、小出吉親が外様大名であることもあって徳川幕府は住居を城と呼ぶことを許しませんでした。
しかし小麦山の丘陵のこの方形居館の周りには武家屋敷を構え城下町が整備されて、どう見ても本格的な城の構えとなっています。

 城の横の「園部公園」には、これまた城の形をした建物があります。
こちらは「南丹市国際交流会館」で、イベントなどに利用されています。
あまりにも立派すぎて、バスを降りてすぐはここを目指して歩いてしまったほどです。

 その隣には「南丹市立文化博物館」があり、石器、弥生式土器から青銅器まで、この地が古代から栄えていたことを示す資料が展示されています。
訪れた時は、特別展を来週に控えた通常展示の日で、無料開放されていたのでした。

 それでは「南丹市立文化博物館」から程近い「生身天満宮」に寄ってみます。
「生身天満宮」は、菅原道真が在世中から祀られている全国にただ一つしかない歴史のある神社なのです。
本来「生身天満宮」は小麦山にはあったのですが、後から築城された城が「生身天満宮」より高い位置にありました。
「生身天満宮」を見下ろすのは畏れ多いとして、築城から30数年後の1653年に「生身天満宮」を約500m離れた山麓に遷したのでした。

 再び「園部城」の近くに戻ります。
城の周りには、市役所などの公共の施設が集まっています。
その奥にまたしても城のような形をした巨大な建物があることに気が付きます。
不思議に思い近づいてみると、これが「園部公民館」なのです。
屋根に瓦を拭いた公民館は、大きな城と見間違ってもおかしくない建物です。

 さらに先を歩き、町を見て回ります。
「山陰道」沿いには、昔ながらの家が残っているところがあり、趣のある町の姿を見ることができます。
一通りブラブラして、初めて訪れる城下町 園部の魅力を味わったのでした。

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