にっぽんの旅 近畿 京都 加茂

[旅の日記]

賀茂からおばんざいまで 

 京都の出町柳に来ています。
大阪から伏見そして東山の寺院の間を縫うように走る京阪電鉄の終点の駅です。
駅を降り地上に出ると、そこには「鴨川」があります。
京都をうたったフォークソング「加茂の流れに」を思い出します。
ここで鴨川は高野川と合流しており、その中州を北に進み「下鴨神社」まで歩いて行きます。

 地図で見ると駅の北側すぐに敷地が広がるように書かれていますが、北へ北へと歩いて行かなければなりません。
「賀茂御祖神社」の石碑を越えた赤鳥居の前に、「旧三井家下鴨別邸」はあります。
1909年に三井家の祖霊社である「顕名(あきな)霊社」が、この地に遷座されます。
第10代の三井八郎右衞門高棟が、参拝のための休憩所として三井家11家の共通の別邸を建てます。
豪商三井家の木屋町にあった別邸を、1925年に主屋としてこの地に移築したものです。
主屋の南側には庭園が広がり、母屋の3階に設けられた望楼からは、東山の街並みを眺めることができます。
1951年には三井家から国に譲渡され、京都家庭裁判所の所長宿舎として2007年まで使われてきました。
数年前に訪れたときには解放されていなかったのは、このためだったのですね。
この時は2階と望楼を見ることができる、数少ない公開日だったのです。

 さらに北に進みましょう。
やがて朱色の鳥居を潜り、「糺(ただす)の森」に広がる参道の砂利を踏みしめて歩きます。
左手には鴨長明ゆかりの「河合神社」もあります。
先へ進むと、やがて「さざれ石」が見えてきます。
「君が代」にも詠われた小さな石のかたまりで、やがて成長し岩になると信じられていることから、心霊の宿る石とされてきました。

 朱色さざやかな楼門をくぐると、そこは「下鴨神社」です。
正式名称を「賀茂御祖(かもみおや)神社」と言い、「賀茂別雷神社(上鴨神社)」とともに「賀茂神社」と総称されています。
神武天皇の時代に、御蔭山に祭神が降臨したといわれ、上鴨神社とともに賀茂氏の氏神を祀る神社です。
境内には舞殿、そして中門を潜った先には、言社という十二支を祀る7つの小さなお社と、西本殿と東本殿があります。
ここ「下鴨神社」も「伊勢神宮」と同様に式年遷宮があり、21年おきに神様のお社を移しています。
また、この地は京都の三大祭である「葵祭」の舞台にもなっており、走る馬の上から的を狙う「やぶさめ」がここで行われるのです。

 「下鴨神社」から西側の下鴨本通に出たところに、次に行きたい茶屋があります。
ここは、みたらし団子発祥の地です。
店の中はいっぱいで、外の茶席に通されます。
待っている間も、団子を焼く香ばしい匂いが漂ってきます。
糺の森のみたらし池に湧き出す水の泡を形取って作られたという団子で、小さめの軽く焼いた餅を串に刺し、黒砂糖をベースとした甘いあんをかけた団子です。
京都に来て、ここに寄った甲斐がありました。

 さてここからは、京都の町を少し歩いたあとは本日の食事の舞台へと移動します。
京都らしい歴史を感じる店構えのお茶屋さんが、あります。
その他にも昔ながらの建物が、通りに軒を並べています。

 やってきたのは、四条烏丸のとある居酒屋です。
居酒屋と言っても古民家を改装した、趣のある建物です。
通りに面した2階の窓は、すだれが掛かっています。
狭い門戸を入いると、奥にある急な階段を上がって落ち着いた2階席の一角に通されます。
酔ってもこの階段から転がり落ちた客はかつていないとのこと。
第1号にならないように、気を付けなければいけません。
今宵はここで今日の「おばんざい」を肴に、酒を楽しむことにします。
京風おでんや角煮、焼きなす、鯛の煮物にカニのあんかけなど、どれも美味しいものばかりです。
京都の味を満喫したのでした。

     
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