にっぽんの旅 近畿 京都 送り火

[旅の日記]

五山の送り火 

 お盆の京都と言えば、「五山の送り火」が有名です。
別名を「大文字焼き」とも言い、祇園祭とともに京都の夏を代表する風物詩の一つです。
お盆に迎えた先祖の精霊を送る行事として、「大」「妙」「法」、船形、「大(左大文字)」、鳥居形の各文字や形を山に火を灯して先祖の霊をともないます。

 京阪電鉄の出町柳駅に着いたのは、まだまだ明るい16:00です。
点火の20:00までは、十分に時間があります。
出町橋、河合橋で結ばれた賀茂川、高野川の三角州を目指します。
ここが大文字を見るためのベストポジションと聞いていたからです。
16:00だというのに、中州には既に人が場所を取っています。
しかし対岸の柳が邪魔をし、大の文字をうまく見ることができません。
そこでより遠くなりますが、賀茂川の西岸壁に移ることにします。

 賀茂川の西側堤防では、中州にも増して人が集まっています。
しかしまだ16:00。座る場所を選ぶことができるだけの余裕があります。
場所を決めると、持参したシートを敷き場所取りです。
前のシートには、早くもお酒のまわった2人組のおじさんが舌のまわりが悪くなりながらも楽しそうに話をしています。
時間まで烏丸通りでお蕎麦を食べに行くことにします。

 食事を終え京都の町をブラブラと歩いて帰ってきたときには、日も暮れていよいよ大文字との雰囲気が出てきました。
後から来る友達を大声で呼ぶ若者、一度は席を立ったものの自分のシートが分からず仲間を呼ぶ者、いろいろな叫び声が飛び交います。
そして満杯になった河川敷に、相変わらずあとからあとから人がやってきます。
17:30にもなれば、通路まで座るこむ人が出る有様です。

 そうこうしているうちに、いよいよ火入れの20:00がやってきました。
ここから見える大文字が、最初に点火されるのです。
東山如意ヶ嶽の方に、点ではありますが灯りが見えたり隠れたりしています。
そうして待たされること5分余り、一斉に大の文字に点火されます。
煙のため欠けて見える所がありながらも、あかあかと灯る「大」の文字が浮き出た時には、どこからともなく拍手が湧き上がりました。
揺らぐ火を眺めながら、しばらくは大文字に見入ってしまいます。

 東の大文字から始まり、順に西に向かって時間差で点火が行われます。
それぞれの文字は30分もすれば鎮火されるので、場所取りの時間に比べると一瞬の催しです。
他の文字を見たいのと、遅くなれば帰路のための身動きが取れなくなってしまうことから、15分も見れば移動を開始します。

 京阪出町柳駅に向かい出町橋を渡り始めたのですが、帰る人と市内に向かう人、そして送り火を見るために立ち止まる人で橋の上はごった返しています。
警察官が交通整理用のロープを張りどうにか制御しているものの、流れてくる人の波には勝てないようです。
出町橋が中州に差し掛かるところで、かろうじて「妙」の文字が北の方角に見えます。
河合橋の橋中央では、しっかりと「法」を川の上流に見ることができます。
そして進行方向の正面には、ビルが立ち並ぶ街灯りの上に大文字が燃えています。

 大文字をちょっとだけかじって帰路に就いたのですが、帰りの電車に乗るまでの大混雑は、皆さんのお察しの通りのものでした。
そして今回の京都の土産は、ご存じの八ッ橋でした。

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