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[旅の日記]

姫路 街歩き

 世界に誇る姫路城
本日は、その城をもつ姫路の町を散策します。

 「姫路」「名物」でインターネット検索を行うと、魚や肉といったものではなく何故か「えきそば」がヒットします。
駅ホームの立ち食いソバの「えきそば」です。
安価であまりにも庶民的な食べ物が、1番にヒットする訳を知りたくて、食べてみることにします。
駅ホーム以外に駅地下街にも店があるようなので、そちらに向かいます。
カウンターの席が並ぶ店内では、まず最初に自動販売機で食券を買います。
一番人気のてんぷらそばを購入し、席に着きます。
さすが立ち食いそば出身の店だけあって、すぐにそばが出てきます。
そして、食べてみて人気の秘密が理解できました。
丼と出汁は和風のそばそのものですが、麺がそば粉を練り込んだ黒っぽいものではないのです。
これは終戦後の物がなかった時代に、統制品の小麦粉に替わってこんにゃく粉とそば粉をまぜたそばを販売したのが始まりで、いまでは中華麺を使っています。
おかげで、癖がなく意外と食べやすいのです。
何よりも400円にも満たない低価格なのも嬉しいところです。

 腹を満たした後は、駅ロータリーから正面遠くに見える「姫路城」を目指します。
「大手町通り」の「姫路城」の前まで来たところで、城には入らず右手に折れると、眩しいほどの朱色の社殿が目に入ってきます。
「播磨国総社」の御門です。
華やかな御門を潜って奥に入ると、そこには「射楯兵主神社」の拝殿があります。
564年には、飾磨郡伊和里水尾山に、大己貴命(兵主の神)を祀ったとの記録が残っています。
また播磨国風土記には、8世紀以前に飾磨郡因達里に伊太代神(射楯神)の記載があります。
これら2社が少なくとも9世紀後半には、合座されてきました。
1181年には、播磨国内の74座の神々を合わせ祀って、いまの「播磨国総社」を形作ります。
さらに1581年の秀吉の姫路城大築城のときに、現在の地に移転します。
その後は池田輝政が太鼓橋、本田忠政公が玉垣、榊原忠次は舞殿の再興や大鳥居の寄進など、歴代城主から数々の宝物が奉献されてきました。

 それでは、ここからは平成の大修理を終えた「姫路城」を訪れてみます。
「大手門」を入るとそこには「三の丸広場」が広がっており、その先の丘の上には真っ白の城がどっしりと構えています。
高い石垣とその上には左右に張り巡らされた城壁で、城は守られています。
1333年に播磨の守護職である赤松円心が北条討伐の令に応じて砦を築き、円心の子 赤松貞範が館を設けたのが始まりです。
1580年には黒田官兵衛孝高勧めで羽柴秀吉が3層の天守閣を、中国攻めのために築きます。
秀吉の城なのに白色というのは、その後の1601年に徳川家の血が入った池田三左衛門輝政が、徳川幕府の豊かな財力を背景に大城郭を築きます。
その後は池田家の後に入部した本多忠政が「西の丸」を築いて、今の「姫路城」が完成します。

 この「姫路城」は、このほど終わった平成の大修理で城全体がより白く化粧されています。
特に以前に較べ屋根瓦に練り込まれた漆喰が、より白さを鮮明にしています。
天守閣には何度も登っていることもあって、今回は中には入らず城の石垣に沿って南側から東側に移動しながら白い城を周りから眺めて楽しみます。

 「姫路城」の東には、「姫路市立美術館」があります。
芝生の敷かれた敷地内に、煉瓦造りの建物が「姫路市立美術館」です。
明治時代の建物で、旧陸軍第10師団の兵器庫ともなったところを、美術館として活用しています。
そして建物の上からは「姫路城」の天守閣が顔を出しています。

 「姫路市立美術館」の北側の公園の緑の中には、近代的な建物の「兵庫県立歴史博物館」があります。
現代に至るまでの兵庫県の歴史が、展示されています。
「姫路城」の築城の様子も、ビデオで判りやすく紹介されています。
外観5層、内部は地上6階地下1階の城ををわずか2本で支えている「姫路城」ですが、ここでは初代の直径1mの大柱が展示されています。
これには、一見の価値があります。

 観光客がバスで訪れるのは「姫路城」、個人観光で行っても周辺の美術館や博物館止まりでしょうが、これからは観光客がめったに行かないところを足を運んでみましょう。
「姫路城」の東北1km先には、姫路の昔の街並みが残っている地域「野里寺町」があります。
昔ながらの「姫路野里商店街」を抜けて、昔の香りが漂う日吉神社までの通りを進みます。
虫籠窓をもつ明治時代の建物が残り、近代的な姫路駅前のビル群とは一線を画します。

 その先を右手に曲がったところに「慶雲寺」があります。
1443年に天台宗の寺院として創建され、その後臨済宗に転じて現在に至っています。
如意輪観世音菩薩は池田輝政の奥方の念持仏で、江戸時代には幕府の加護も受けていました。
この寺が有名なのは、「お夏・清十郎比翼塚」があるからです。
井原西鶴、近松門左衛門の小説や戯曲などで有名なお夏と清十郎の悲しい話の舞台です。
許されぬ恋ゆえに清十郎は刑死してしまい、お夏は狂乱してしまいます。
二人の死をしのいで、せめてあの世ではふたりが一緒になれることを願って、誰とはなく2つの石を置いて祀ったのでした。

 その近くの和菓子屋で、「お夏清十郎もなか」なるものが売られています。
真ん中が尖った独特の形をしたもなかです。
今回のお土産は、この「お夏清十郎もなか」に決まりです。

 姫路で1泊し、朝から食べたかったものがあります。
ホテルの朝食を無駄にしてまで向かったのが、「みゆき通り商店街」を駅から歩いて10分ぐらいのところにある喫茶店です。
そしてお目当ての品は、「アーモンドトースト」だったのです。
この地方のソウルフードで、アーモンドバターをパンに塗って焼いたトーストです。
甘めのある香ばしいアーモンドバターと、この店独特の薄く切ってちりばめたアーモンドがコリコリとして良い噛み心地です。
珈琲店のコーヒーとともにいただくトーストは、朝から満足な時間を味わうことができたのでした。

 
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