にっぽんの旅 近畿 兵庫 有馬温泉

[旅の日記]

有馬温泉 

 今回は、近畿の奥座敷とも呼ばれる有馬温泉です。
631年に書かれた舒明記には、舒明天皇が「有間」に立寄り入浴を楽しんだという記述があるぐらい、古くから親しまれているところです。
そして時代が変わり、有馬をことなく愛したのが秀吉です。土地のあちらこちらに秀吉の名前を見ることができます。

 夜に有馬に到着したので、但馬牛と松茸を堪能し、観光については翌朝からの活動開始です。
まず目に付くのが、街の中心部に位置する有馬川に架かる大きな橋で、名を「太閣橋」と言います。
そして少し川上の赤い欄干を持つ端は「ねね橋」で、有馬に別邸まで建てたねねは秀吉と湯につかりしばしの戦乱を忘れるときを過したのではないかと思われます。

 太閣通りに並ぶ土産物屋から湯本坂の交差点に位置するところに、公衆浴場の「金の湯」があります。
近くには無料では入れる足湯もあり、足の疲れをほぐすのに最適です。
これから行く念仏寺の近くにも、公衆浴場がありこちらは「銀の湯」といいます。
ホテルでゆっくりお風呂を楽しんできたので、今回は外湯にも目をくれず、石段を登っていきます。

 石段を登りつめた所にあるお寺が「温泉寺」です。
ここにも行基が訪れ、この寺を開いたと言われています。
本堂の波夷羅大将立像は、重要文化財に指定されています。
また、温泉寺の横には「極楽寺」が並んで建っています。

 温泉寺と道向かいにあるのが、「念仏寺」です。
北の政所「ねね」の別邸跡と伝えられており、庭には樹齢250年の沙羅双樹の大樹があります。
6月には「沙羅の花と一弦琴の鑑賞会」が開かれると言うことです。

 再び湯本坂に戻り、昔ながらの円柱状の赤いポストのところを曲がると、やがて白煙のもくもくと立ち上っている様子を見ることができます。
ここは「天神泉源」で、天神社の境内に源泉があるのは驚きでした。

 ここからは湯元坂を山側に進みます。
坂の両側は、観光のための土産物や食べ歩きのための様々な店が並んでいます。
ついつい定番である温泉まんじゅうを頼んでしまいます。
温泉まんじゅうを口に含みながら、歩いていきます。

 その先の店が見られなくなったさらに先にあるのが、「炭酸源泉」です。
有馬温泉の炭酸せんべいも、ここからきたのでしょうか。
設けられた屋根の下に、湯元があります。
酸化して茶色味を帯びた源泉ですが、絶え間なく水が噴き出しています。

 さていくつもの源泉を見た後は、温泉の中心地に戻ります。
「湯けむり広場」の池の真ん中には、河童の像があります。
本来ならば滝のように水が落ちる背景のはずですが、訪れた時には水が流れておらず何か物寂しい感じがしました。

 ここから有馬川に架かる太閤橋を渡った反対側に、大きな石があります。
石にはしめ縄が飾られており、特別な石のようです。
道場城の殿様が有馬の山で鷹狩に行った時のことです。
山中で出会った乙女を怪しく思い、乙女に向かって矢を放ちます。
この乙女こそが温泉神社に祀られている熊野久須美の女神だったのです。
その時乙女が投げた小石が、のちに大きくなり「袂石(たもといし)」となったとされています。
その以来有馬には弓や矢を持って入ることが禁じられたということです。

 さて、わずか30分程度で、有馬の中心街を見て回ることができます。
お土産は、こんこんとわき出ていた炭酸水に着目し有馬の名物として誕生した炭酸せんべいです。
砂糖と塩だけの味付けの素朴ですが、何故かいくらでも口に入ってしまうこの味には、面白いものがあります。

 
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