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[旅の日記]

甲斐善光寺とほうとう 

 新宿から高速バスで2時間、本日は甲府の街を紹介します。
なぜ甲府に来たかって? それは答えは単純「ほうとうが食べたかったから」

 JR甲府駅では「信玄像」が出迎えてくれます。
そう甲府は武田信玄が治めた城下町で、信玄に対する人々の信仰も人一倍強いところです。
その信玄を祀る「武田神社」がありますが、そちらの旅行記は甲府編に譲ることにしましょう。
早速お目当てのほうとうを食べに町に繰り出します。

 向かったのは、駅前のほうとう専門店「小作」です。
店内はテーブル席、囲炉裏席とありますが、迷わず囲炉裏席に座ります。
標準的な「かぼちゃほうとう」を注文します。
訪れたのは昼時の混雑で、店はごった返しています。
待たされること15分、お目当てのものが出てきました。
鉄鍋の中ではぐつぐつ煮音をたてて、かぼちゃ、ぜんまい、ごぼう、さといも等に混じってほうとうが顔を覗かせています。
かぼちゃの甘い味がしみて、良い出汁が出ています。
そして特大きしめんと言えばいいのか・・・ほうとう自体がおいしい。
最初はこれだけで足りるかなと心配をしていたのですが、食べてみるとそのボリュームにびっくり。
汗をかきながら、やっとの思いで一人分の鍋をたいらげたのでした。

 腹も満たされ、次の目的地は「甲斐善光寺」です。
甲府駅からは身延線の善光寺駅が最寄り駅なのですが、ローカル線のため適当な時刻の電車がありません。
中央線で1駅の酒折駅まで向かい、そこから歩くことにします。
酒折駅で降りたまではいいのですが、駅の案内には善光寺の「ぜ」の字すら書かれていないのです。
しかたなく歩いていると、郵便局の配達のバイクに出会いました。
これはとばかりに聞くと、懇切丁寧に道を教えてくれたのですが、別れ際に「相当遠いですよ」と。
これはえらいことや!と、一面に広がるブドウ畑の中を善光寺まで歩きだしました。
途中迷い込んだ(?)酒折神社を越え、信号のある交差点に辿り着きました。
そう、ここが善光寺通りです。交差点からは、右手に山門が見えてきました。

 「善光寺」と言えば長野の善光寺を思い浮かべますが、甲斐の善光寺はまさにその生まれ変わりなのです。
1558年、信玄が川中島の合戦の際、信濃善光寺の焼失を恐れ仏寺宝類をここ甲斐に奉遷したことに始まります。
まず眼に入る山門、そしてその奥の金堂ともには、1754年の門前の大火により焼失したものを、1796年に再建したものです。
山門は善光寺通りの突き当たりに位置し、朱色の立派な門構えでそびえています。
山門をくぐると参道が続き、その先には高さ27mの金堂がどっしりと構えています。
これまた朱色の柱がきれいな寺院なのです。
ここの宝物館は訪れなければと意気揚々と来たのですが、あいにくの休館日?
夢を果たすことは、できませんでした。

 さて「善光寺」の近くにも歩いて行ける信玄ゆかりの地があるということで、訪れてみます。
ブドウ畑に囲まれた道を西へ5分ほど歩けば、「東光寺」に着きます。
先ほどの「善光寺」とは違い、華やかさのない落ち着いたお寺です。
1121年の建立というものですから、「善光寺」よりも歴史のあるお寺で、木の壁、藁ぶき屋根の仏殿は、周りのお寺とは違った趣があります。
武田家の滅亡後、織田信長が「甲斐善光寺」に本陣を置き、「東光寺」を焼いた時でさえも焼け残った仏殿には、不思議な力があるようです。
また小さいながらもきれいに整備された庭園は、蘭渓道隆の作庭です。

 信玄の歴史に触れ、ほうとうを満喫したのですが、何か抜けているものがあります。
これだけ多くのブドウがありながら、1つも食さずして帰れるわけがありません。
とはいえ、1房買っても持て余すということで困っていたところで、見つけました、巨峰ソフトクリームを。
ブドウの甘みがするソフトクリームを、甲府の最後の土産話にと口に頬張り、帰りの高速バスに並んだのでした。

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