にっぽんの旅 関東 東京 築地

[旅の日記]

築地市場 

 銀座の西側に、東京都民の腹を満たしてくれる築地があります。
中央区日本橋のたもとで魚市場として始まった市場ですが、古くは江戸時代に徳川家康が佃島の漁師を集めて幕府へ魚を納めさせた日本橋魚河岸が始まりです。
大正時代に入り中央卸売市場の計画が起こりますが、おりしも1926年の関東大震災で日本橋魚河岸は壊滅し、芝浦に仮設市場が設けられます。
ところが交通の便が悪く狭いことから、築地の海軍省用地の一部を借り市設魚市場の営業が始まります。
1935年には、同じ築地の地に本格的な中央卸売市場が誕生し、今のような日本最大の魚市場となります。
1日平均3300トンの魚や野菜が取引される、日本屈指の巨大市場なのです。

 東京ではホテル暮らしと言うこともあり、いつもとはちっと違った朝食が食べたくてやってきたのが、本日ここを訪れた理由なのです。
地下鉄築地駅を出て南に一筋歩いたところに、築地場外市場はあります。
本家の築地市場と違い、築地場外市場は一般が自由に出入りできる小売店です。
大通りに面した入口には、「築地場外市場」と書かれたアーケードが広がり、乾物屋、丼屋などが軒を並べています。
しかし本当の築地らしさは、そこから脇に延びる狭い通りにあります。
通りの両側には魚屋を始めとする生活感漂った店が所狭しと並んでします。
店の奥ゆきと同じくらいの面積を、道にはみ出した店先の陳列が占めています。
威勢のよい掛け声につられて、ついつい並べられた商品を眺めてしまいまうのです。
美味しそうな魚があるのですが、ホテルに持ち帰るわけにもいかず、磯の匂いの漂う築地流ウィンドゥショッピングを楽しみます。

 さてここいらで、本日のお目当ての朝食にありつくことにします。
筋の奥に入ると、海鮮丼のメニューのかかった店が数多くあります。
いずれもカウンター席だけを備えた、小さなお店です。
ただし値段もそれなりにするのです。
うにやいくらにも目を引かれたのですが、たかが朝食ごときに多くを払うこともできませんので、本日はまぐろとサーモンの丼を注文します。
「あいよー」の掛け声とともに、調理が始まります。
そして出てきたのが、器いっぱいに色鮮やかな赤とオレンジの切り身そして黄色の卵焼きが並べられた丼です。
刺身は脂が乗って柔らかく、さすが築地の魚です。
ちょっと贅沢な朝食を、あっという間にたいらげたのでした。

 さて帰りの地下鉄築地駅に行くまでの間に、浄土真宗築地本願寺があります。
1617年、京都にある西本願寺の別院として浅草近くの横山町に建立され、「江戸浅草御坊」と呼ばれていました。
明暦の大火により本堂を焼失し、1679年には八丁堀沖の海上を埋立て「築地御坊」が再建されます。
ところが関東大震災による火災でまたもや本殿を焼失し、1934年に現在の古代インド様式の石造りの建物となりました。
本殿には阿弥陀如来像、親鸞聖人像などが祀られており、変わったところではお寺なのにパイプオルガンが設置されています。
とにかく建物の壮大さに圧倒されっぱなしでした。

 プチ朝食の旅?いかがでしたか。
やはりどんな素晴らしい景色や建物よりも、美味しいことの満足感の方が勝っていたような朝のひとときでした。

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