にっぽんの旅 関東 東京 大手門

[旅の日記]

江戸城跡の皇居 

 日本中の城めぐりで、身近なところを忘れていました。
東京駅にある皇居、かつての江戸城跡を本日は訪れます。

 JR東京駅から歩いて10分程度のところに、誰もが知っている皇居があります。
もちろん、天皇の住居です。
訪れた日は「乾通り」が5日間だけ一般公開されるとあって、そこに向かう人でいっぱいです。
警視庁の婦警さんが馬に跨った非常に珍しい騎馬警官の姿も見ることができます。
さっそうと馬を乗りこなしています。
混み合っている乾通りには行かず、日頃から公開されている「東御苑」に向かって歩きます。

 「桔梗門」からは、堀の内側に「窓明館」そして奥には「富士見櫓」を臨むことができます。
さらにもうひとつ北のある「大手門」を目指し、皇居の堀に沿って進んで行きます。
「乾通り」に向かう人とは違い、ひとりだけが明らかに逆行しています。

 そして着いたのは「東御苑」への入り口である「大手門」です。
「大手門」に近付くと警官がこちらを睨んでおり、荷物をチェックされます。
リックの中にはパソコンとそのバッテリーや充電器、複数のケーブルが入っており、まさに爆弾魔のような荷物で入場を断られるかと冷や冷やしたのですが、難なく中に通されます。
「三の門」を潜って中に入って行きます。

 まず目に付くのが「同心番所」です。
同心とは庶務や警備の仕事をしていた下級役人を総称したもので、彼らが「三の門」を警護するためにここに詰めていました。
駕籠に乗った大名もここで降りて検問を受けるのですが、徳川御三家の尾張、紀伊、水戸の大名だけは、駕篭のまま通ることを許されました。

 通路は左手に直角に折れ、そこにあるのが「同心番所」とは規模の違う、50mを越える「百人番所」があります。
ここは江戸城本丸御殿で、最大の検問所です。
鉄砲百人組と呼ばれた根来組、伊賀組、甲賀組、廿五騎組が、昼夜を問わず交代で番をしていたところです。
同心が常時100人詰めていたところから、「百人番所」と呼ばれるようになりました。

 江戸城の石垣を見ながら城の中に入って行きます。
右手には「二の丸庭園」が広がっています。
都道府県の木が植えられた、緑の多い公園です。
既に暦は12月に入っていますが、暖かい今年の気候のためようやく紅葉に色付き出した木々が色鮮やかです。

 左手には石垣が並んでいますが、その先の「汐見坂」で一気に石垣の上まで登り切ります。
「楽部庁舎」が見え、その先にある石垣が江戸城の天守台です。
江戸城の天守は、1606年の家康、1622年の秀忠、1638年の家光と、将軍の代が替わる毎に造り直され、時の将軍の権力の象徴でした。
家康が築いた「慶長の天守」は、今の天守台より南側の「富士見多聞」の辺りにあったと考えられ、5層の高さの天守を誇っていました。
一方、秀忠が造る「元和の天守」は、現在見るの天守台辺りに存在していました。
「慶長の天守」を撤去し新たに建てたもので、「慶長の天守」を高さで上回っていたといわれています。
家康を溺愛する家光による「寛永の天守」は、「元和の天守」のあった天守台に築かれもので、金の鯱で飾られた5層の天守閣でした。
しかし「寛永の天守」は、1657年の大火で焼け落ちてしまいます。
1658年には加賀藩前田家の普請により、花崗岩でできた高さ18mの天守台が築かれます。
ところが4代将軍綱吉の叔父 保科正之は、天守閣は戦国の世の象徴であって時代遅れであると諭し、それ以後天守閣は再建されることはありませんでした。

 「天守台」前の芝生で整備された広場は、江戸城「本丸」があった場所です。
江戸城「本丸」には、表、中奥、大奥の場所に分けられ、表では政務を執る公の場所に対し、将軍の私的な居住空間を中奥です。
中奥では、男性が将軍に奉仕しました。
そして「大奥」は、将軍の正室である御台所が住む場所です。
多くの大奥女中が住み、その数は最盛期には1000人とも3000人とも言われる巨大な女の園です。

 「天守台」から「本丸」跡の南端まで来ると、「東御苑」の出口へと向かいます。
途中「大番所」を通って行きます。
「大手門」から「本丸」に来るには、「同心番所」「百人番所」を経て、最後にこの「大番所」までやってきます。
言い換えれば最後の砦に当たるところで、江戸所の警備上重要な場所であったことは間違いありません。
「大番所」の外には、両側に巨大な石を積み上げた「中之門」が構えています。
門を出ると、切るときに通った「百人番所」があり、ここから「大手門」を目指して先ほど来た道を逆に進みます。

 さて「江戸城」を出ると、ここは東京のど真ん中。
現実の都会の舞い戻ってしまった感覚に襲われ、無表情のビルの間を縫って歩きます。
せっかくなので「東京ラーメン」をすすって帰ることにします。
こうして、タイムスリップして「江戸城」に酔いしれた夢は醒めてしまったのでした。

 
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