にっぽんの旅 関東 栃木 出流原

[旅の日記]

出流原の湧水 

 佐野駅から路線バスで30分、赤見温泉に本日は向かいます。
赤見温泉と言っても、温泉に入るのが目的にはありません。
「日本の水100選」に選ばれた「出流原弁天池湧水」があり、訪れてみます。

 佐野駅を出たバスは町の中を巡り、10分も走るとやがて家も少なくなってきます。
民家の集まるところに寄りながら、バスは進んでいきます。
半時間も走ったところに、赤見温泉はあります。

 バス停に降りると、そこには山の中腹に真っ赤なお堂が見えます。
「磯山弁財天」で、朱色の山門を潜ってその先の石段を登っていきます。
石段は意外と長く、息をゼイゼイ言いながら登って行きます。
その先には京都の清水寺の舞台を小さくしたような建物が、木々の間から覗き見できます。
かなり坂を登ったでしょか。
左右に道が分かれるところの正面に、水が湧き出ています。
白蛇を模った碑の前には柄杓が置かれており、喉を潤すことができます。
そしてその右手には「銭洗い弁天」があります。
ただしここの存在には皆さん気づていないようで、左手の朱色のお堂に向かって一目散に歩いて行きます。

 清水寺のような朱色のお堂が、目指していた弁財天です。
入り口には、巨大な白蛇の像が飾られています。
8本の手を有し頭に白蛇を巻いた宇賀神像が、「磯山弁財天」なのです。
蛇は弁天様のお使いとされ、大切に保護をされています。
山肌にへばりつくように建てられたお堂は、それが故に清水寺のような片側が碁盤の目のような木の柱を組む造りにならざる得なかったのでしょう。
五穀豊穣、家内安全、商売繁盛の神様として、親しまれています。

 それではお堂を下りて、「出流原弁天池」に向かいます。
行きは大変だった石段も、帰りはすんなり通過します。
バス通りと同じ高さのところに、「湧釜神社」があります。
御祭神は柿本人麻呂で、「名水の大神」と言われる小さな神社です。

 その境内に「出流原弁天池」があります。
底が見渡せる澄んだ水を湛える池には、水中には錦鯉がそして水面では鴨が泳いでいます。
この冬の時期でも一部で紅葉が残っており、美しい風景にさらに色を添えてくれます。
風が吹いているせいで水面が小さく波立ち、写真では澄んだ水の様が判り難いかも知れません。
でも本当に透明なのですよ。

 バス通りに沿って、赤見温泉が広がっています。
と言っても大きな温泉街ではなく、数件の温泉宿が建っている限りののどかなところです。
近くで佐野名物の「いもフライ」が売られていますので、さっそく買って口にします。
蒸かしたジャガイモを一口大に切り、小麦粉の衣につけて油で揚げてものです。
食べたものがソースが浸みすぎていたせいか、見た目よりもしょっぱい印象があります。
個人的にはソースがなくても良いのではないかと。

 帰りのバスまで時間があるので、近くにあるフィッシングフラワーパークに寄ってみます。
釣り堀を備え、ここでマス釣りをすることができます。
また湧き出る水を湛えた池には、多くの錦鯉が飼われています。
餌を与えると水面が波立ち、我先に寄って来て食いついてきます。
マス釣りよりも簡単に釣れそうな状態です。
バーベキューの設備もあり、温かい時期に来れば結構遊べそうなところです。

 そうこうしていると、やがて帰りのバスの時間になりました。
再び半時間を費やして、佐野市街に帰っていったのでした。

 
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