にっぽんの旅 関東 埼玉 草加

[旅の日記]

草加 

 東京駅で土産と言えば、東京ばな奈、ごま団子、しゅうびあん、雷おこしなど数多くありますが、忘れてはならないのが草加せんべいでしょう。
東京のものとばかり思い込んでいたのですが、よく考えれば埼玉の「草加」ですよね。
そんなわけで、今回はせんべいの里 草加市を訪れることにします。

 日光街道の宿場町として栄え、せんべいでも有名な草加市は、浅草から東武伊勢崎線で20分余りのところにあります。
朝、草加駅に降り立ち、本日最初に目指すのは歴史民俗資料館です。
実はこの資料館を探すために、旧日光街道を何度も行き来したのですが、それらしき建物は見つかりません。
仕方なく道行く人に聞くと、それは丁寧に教えてくれたものでした。
旧日光街道ではなく、電車沿いの道にその入り口はありました。
草加小学校の西校舎を改修して作られた資料館では、職員室のような受付を通り、廊下を通って展示室(教室)に入ります。
中には丸太舟などの昔の資料や、農具、せんべい製造具などの展示が行われています。
折り紙で作り天井から吊るすな珍しい雛人形にも、お目にかかることができます。
ここで草加市の歴史、そしてせんべい造りの基礎をじっくり学び、再び街の散策に出かけます。

 歴史民俗資料館にほど近ところには、東福寺があります。
ここは1606年に、草加宿を開宿したという大川図書が創建したお寺で、境内には大川図書自身のお墓も安置されています。
市域最大の本堂は、1824年に再建されたもので、山門、鐘楼、本堂外陣欄間は市指定文化財になっています。

 それでは、ここから1筋東に入った旧日光街道に戻りましょう。
何度も行き来した旧日光街道ですが、先ほど見てきた資料館の説明によれば、日光街道を示す数多くの標識が立っているはずです。
それらを探しに、今一度街道を行き来してみます。

 街道沿いには「おせん茶屋」があり、ここには日光街道の標識があります。
「おせん茶屋」は、草加せんべいの祖と言われるおせんさんにちなんで作られた公園で、せんべいの作り方を説明した看板が立っています。
日光街道の標識は他にもありました。注意深く道の脇を見て歩くと、意外とあるものですね。

 ここからは再び北上して、札場河岸公園を目指します。
この辺はさすがにせんべい屋さんが多く、この旧日光街道、そしてそれと並行して走る現在の日光街道のあちらこちらに、せんべい屋さんはあります。
どこも「元祖」とか「本場」などの文字が並び、どこが本物なのか判らない状態です。

 神明宮を横目に見ながらさらに北上していくと、新日光街道との合流地点付近に札場河岸公園があります。
綾瀬川沿いのこの公園には、川辺に舟着き場の石段を復元しており、当時の雰囲気を残しています。
公園内にはひときわ高い木造五角形にそびえる望楼があり、目立って見えます。

 この公園から北に向かっては、綾瀬川沿いに草加松原遊歩道が整備されています。
600本を超える松に囲まれた緑のトンネルが、1.5kmに渡って続いています。
ジョギングや犬の散歩をする人々に出会うことができます。
そして交差点の歩道橋は、一見して木製の橋を思わせるような姿をしています。
順に矢立橋、百代橋と橋の名前が付き、大きな円弧を描いているのです。
ともに芭蕉の奥の細道からの命名で
「行く春や 鳥啼き魚の目は泪 これを矢立の初めとして行く道なほ進まず」
「月日は百代の過客にして 行きかう年もまた旅人なり」
草加松原遊歩道を草加市文化会館まで歩き、そこでせんべい焼きの体験をすることにします。

 さて草加の散策も一通り終わり、駅に向かってぶらぶら歩き出します。
草加駅前の線路を挟み日光街道の反対側には、この辺りの11社を合祀した草加神社があり、草加の総鎮守として祀られています。
参道前の公園にはC56のSLが展示されていますので、これを目印に行くのも良いでしょう。

 春を思わせるようなポカポカ陽気の冬場に、気持ち良くぶらっと歩いた草加の散策でした。

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