にっぽんの旅 関東 埼玉 秩父

[旅の日記]

秩父の街並みを求めて 

 東京池袋から1時間半、各停でも2時間のところに秩父があります。
黒谷からは和銅、武甲山では石灰石を産出される豊かな資源に恵まれた土地です。
また秩父神社の門前町として、栄えてきました。

 飯能で乗り換え西武秩父駅に到着したのは、20時前です。
多くの店を閉める中、そば屋がありました。
ここに来て初めての食事は、秩父名物の「くるみそば」です。
清流に恵まれている秩父は昔からそばの名産地で、味はもちろん香りの良いそばの実が採れる場所です。
白っぽいつゆはくるみをするつぶしたもので、甘みのある独特の味です。
「くるみそば」には揚げたての天ぷら盛り合わせがついており、これにビールを付けた食事は来て早々の幸せなひとときだったのです。
食後は、秩父鉄道で1駅先の秩父駅に移動してホテルに入り、明日に備えます。

 さて翌日は、あいにくの雨。
好天が続いていたお出かけでしたが、久しぶりに強い雨に会ったのです。
秩父の町には、昔ながらの建物が残っています。
昨日電車で移動した西武秩父駅から秩父駅までを、本日は歩いて町を巡ります。

 黒門通りには、古い町並みが広がっています。
「旧片山醫院」は、1908年に開業した診療所です。
木造2階建ての壁には板が張られ、木のぬくもりを感じる家です。
1989年に閉院した後は、一般住宅として子孫が大切に家を守っています。

 「小池煙草店」は木造2階建ての昭和初期の建物です。
2階部分の壁を高く積み、一見すると3階建てに間違えそうな造りです。
秩父の町の様子を伝える写真では、この「小池煙草店」がよく取り上げられています。

 「カフェ・パリー」は、モダンな造りの喫茶店です。
ここもモルタル塗の外壁は、高く造られています。
窓上には装飾を付け、洋風の外観をしています。
店名の「カフェ・パリー」が、昭和の雰囲気を放っています。

 白壁と水色のアクセントが美しい家を見つけます。
「岩田産婦人科」で、建物のみならず敷地内が綺麗に片づけられているのには驚きます。

 さて黒門通りの突き当りには「秩父神社」があります。
「秩父神社」は、崇神天皇の時代に知知夫国の初代国造に任命された八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)を、子孫の知知夫彦命(ちちぶひこのみこと)が祀ったことに始まります。
武蔵国成立以前より栄えた知知夫国の総鎮守として、現在に至っています
そして三峯神社、宝登山神社とともに秩父三社の一社に数えられています。
拝殿をよく見ると、軒下に鮮やかな色の柱と細かな彫刻があることに気付きます。
これらは、左甚五郎の作とされています。
12月に入ると「秩父夜祭」があり、珍しい冬の祭りが行われます。

 「旧柿原商店」は、大正時代より秩父で栄えた銘仙問屋です。
店舗兼主屋の建物をはじめ、3棟の土蔵を敷地内に持つ大きな屋敷です。
出桁造りの軒は、窓には細かな格子戸を入れ、繊細な造りをしています。
「秩父ふるさと館」として織物の販売や飲食店が入っています。

 「ほっとすぽっと秩父館」は、明治初期に建てられた建物です。
商人宿を改装し、無料の休憩所になっています。
道路沿いの軒下には野菜が並べられ、売られています。
なんとものどかな雰囲気に呑まれてしまいそうです。

 そして杉玉が吊るされているのが「武甲酒店」です。
1753年創業の造り酒屋で、秩父を代表する銘酒「武甲正宗」を仕込んでいます。
敷地内には武甲山伏流水が湧く井戸があり、清い水で作られた酒が美味しくない訳がありまん。
当然、本日の土産となったのでした。

 そして最後に立ち寄ったのが、駅近くで「秩父神社」の横に位置する「秩父まつり会館」です。
外観は今どきの造りをしていますが、伝統ある「秩父夜祭」を紹介する会館です。
今回は季節外れで見ることができない「秩父夜祭」ですが、その優美で絢爛な笠鉾が飾られています。
次回ここを訪れるとすれば、12月の祭りの時なのでしょう。

 秩父で名物なのにまだ口にしていないものがあります。
「わらじかつ丼」で、丼いっぱいにとんかつが重なりあって入っています。
ソースの味が浸みついたおおきなかつは、食べごたえがあります。
それでいて食べ進んでも飽きがこないのは、何故なんでしょうか。
ペロッと1膳を食べ干してしまいました。

 帰りは、西部特急の「レッドアロー号」に乗ってみます。
西武秩父駅からは、座席の向きとは反対方向に走り出します。
これは途中の飯能駅で方向が変わるからで、少しの辛抱です。
さすが特急電車だけあって、速いだけでなく揺れの少ない快適な電車の旅だったのでした。

     
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