にっぽんの旅 関東 神奈川 横浜

[旅の日記]

港町横浜 

 何回となくやってきた横浜ですが、今回改めて横浜近郊の名所を巡ってみることにします。
桜木町駅に降り立ち、港方向に向かいます。

 最初に目につくのは、帆船日本丸です。
ここ日本丸メモリアルパークには、役目を終えた日本丸が停泊しており、船内を見学することができます。
年に11回は帆を張るということですが、あいにく当日は通常の見学日。
帆に飾られた華やかな姿こそはなかったものの、ひっそりとしかし雄大に港横浜の街にたたずんでいました。

 その日本丸メモリアルパークに面して、以前にはなかったクイーンズ・スクウエア横浜という巨大ショッピングモールが建っています。
そしてその入口のグランモール公園には、まるでうねり狂った樹木が互いに絡み合っているかの如くのオブジェが飾られています。
円形の階段状の広場では大道芸人がショーを行い、慌てるでもない人々が休憩がてら観覧していました。

 そして日本丸メモリアルパークから赤レンガ倉庫に向かっては、500mに続く汽車道が広がっています。
ここは1911年に臨港鉄道の線路跡が復元されたもので、橋の両側は鉄橋の骨組みが、そして歩道の足元には線路が敷かれているのです。
あたかも汽車に乗って進んでいるかの如く、新港地区までの間を歩いて行くことができます。

 その先の赤レンガ倉庫は、1911年に竣工された倉庫を再現したもの。
昔来たときはこんなものなかったのにな…と思った通り、2棟の倉庫はそれぞれ商業施設と文化施設として、2002年に新たな魂を入れられたのです。

 ここから万国橋まで戻ったところに山下臨港線プロムナードなる海に臨む遊歩道があるのですが、あえて陸側の市街地を歩くことにします。
ひときわ高い緑色のドーム状の屋根は、横浜税関のものです。
1939年に建てられた51mのもので、クイーンと呼ばれています。
そしてその先には横浜開港記念館のレンガ造りの塔が覗いています。
こちらは1917年に横浜開港50周年を記念して建てられたもので、今でも公会堂として利用されています。

 その隣の堂々とした造りの建物は、昭和初期に流行った帝冠様式の神奈川県庁本庁舎です。
横浜税関がクイーンならば、こらはキングと呼ばれて親しまれているのです。

 県庁の向かいには、日本の開国と横浜の開港を記した資料の展示を行っている横浜開港資料館があります。
資料そのものを見るには入場料を払う必要があるのですが、当時の横浜の様子を知るだけであれば無料で入ることができます。
ちょうど私が行った時には、ボランティアの方でしょうか、開港の歴史を説明してくれました。

 そうこうしているうちに、山下公園まで辿り着いてしまいました。
「赤い靴履いてた女の子」像もここにあります。
港を望んでくつろぐ市民の姿よりも、各国の言葉が飛び交う観光客が目についてなりませんでした。

 山下公園のシンボルは、ここに停泊している氷川丸です。
1930年に完成した豪華客船は、30年間の太平洋航行の後、こちらに展示されています。
まさに横浜の顔といったところでしょう。

 冬だというのにポカポカ陽気で、歩き疲れた後に向かうのは中華街でしょう。
「中華街」と書かれた善隣門から入り、中華大通りを東に進んで行きます。
通りの両側には、中華料理屋や土産物屋、そして中華食材屋が軒を連ねています。
店頭では飲茶を売る声が飛び交っています。
「今晩は人と食事の約束をしているのだ」と声掛けられる誘いを振り払い、歩き進みます。

 石川町駅に続く朱雀門の手前のところには、門に「天后宮」の文字が刻まれた横浜媽祖廟があります。
関帝廟が商売の神様ならば、こちらは海の神様として有名な、中華街の守り神です。
赤や金の鮮やかな色使いの建物の前では、例によって中国製の太い線香が焚かれ、もくもくと煙が上がっていました。
日本人の私も思わずその恩恵にあずかろうと、手を合わせたのでした。

 桜木町から石川町までのJRでいうところのわずか2駅ですが、陽気の良さも手伝いあちこち寄り道をしながら歩きまわると、あっという間の1日でした。

 
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