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[旅の日記]

真鶴に魚を求めて 

 神奈川と静岡の境、「小松石」の産地でもある真鶴にやってきました。
JR東海道本線の真鶴駅前は車の往来が多いものの、それは小田原から熱海方向に通り過ぎる車ばかりで、真鶴の町自体はひっそりとしています。
駅からは、「真鶴半島」へ向かいます。
太平洋を眺めると、目の前の相模湾の先には大島でしょうか、うっすらと島の影が映っています。

 車で向かった「真鶴半島」は、その先端に「ケープ舞鶴」と呼ばれる土産物屋が入った建物があります。
2階には「遠藤貝類博物館」もあり、時間を潰すにはうってつけの場所です。
「ケープ舞鶴」からは、太平洋の大海原が見えます。
ですが、行きたいのはその先の「三ツ石海岸」です。
「ケープ舞鶴」から石段を進み、「三ツ石海岸」まで下りて行きます。
これがかなりの段数があり、帰りが思いやられます。

 その時、目の前に陸続きになった「三ツ石」が見えます。
「三ツ石」と呼ばれるのは「笠島」という沖にある島で、干潮の時だけ島に歩いて行くことのできる道ができるのです。
円の孤を描いた形の道に、波が打ち寄せます。
白波もまた円弧を描いており、上から見ると美し映像です。
「三ツ石」は左右の大きな岩から成り、陸から見て左の大岩には小さな社があります。
そして左右の大岩はしめ縄で結ばれており、神秘的な姿をかもしだしています。
それらの2つの岩の裏にある小さめの岩と合わせた3つの岩が、「三ツ石」と呼ばれる所以です。

 もうひとつ、ここ真鶴の名産品があります。
「小松石」は、真鶴半島でしか採取されない高級な石です。
香川県の「庵治石」と並んで有名な石で、源頼朝の墓や北条一族の墓、それに寺社の礎石にも使われています。
徳川家康候が江戸城の石垣を築いたのも、この「小松石」なのです。

 さて「三ツ石海岸」の長い石段を上って、「ケープ舞鶴」に戻ります。
ここからは、「真鶴マリーナ」へ移動します。
「貴船神社」の先に、港があります。
そこにある魚港の水揚げ場の建物の2階が、食事のできる「魚座」です。
大きな階段が、「魚座」へ迎え入れてくれます。
2階に上がると、店の前の水槽には石鯛が泳いでいます。

 しかし今回訪れたのは、「魚座」の前にある小さな食べ物屋です。
看板に掲げられた「煮魚定食」の文字が目に入り、吸い込まれるように店に入ってしまいました。
しかし、これが大正解だったのです。
出てきた大皿には、金目鯛がドカンと乗っています。
皿の大きさ通りの、立派なキンメ1尾です。
そればかりか、三枚におろした背骨に身が付いた部分を煮たもの、それにカマが申し訳なさそうに入っています。
これだけでも、十分なおかずです。
丼飯とシジミの味噌汁、切り干し大根、海藻の小鉢が付いて、豪華な「煮魚定食」です。
魚好きでなくとも、思い切り魚を楽しむことができます。
ハエが飛びこと?さえ気にしなければ、最高の食堂なのです。

 今回の訪問は、美味しい魚を食べること。
目的を果たせて、大満足の真鶴だったのでした。

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