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[旅の日記]

金沢八景 

 金沢八景の地名は、鎌倉時代にこの地方の風景が中国杭州の西湖に似て美しいことから、風光明媚な8つの場所というところからきています。
そして江戸時代に入り、三浦浄心が名所和歌物語の中で金沢八景として紹介したことから有名になりました。
今は埋め立てによりそれらすべての面影を見ることは困難ですが、金沢の8つの風景とは以下のものです。
(1)小泉夜雨手子神社(小泉弁財天)
(2)称名晩鐘称名寺
(3)乙艫帰帆海の公園より内陸の寺前地区の旧海岸線
(4)洲崎晴嵐洲崎神社
(5)瀬戸秋月瀬戸神社
(6)平潟落雁平潟湾
(7)野島夕照野島夕照橋付近
(8)内川暮雪能見堂、瀬ヶ崎から九覧亭にかけての金龍院

 京浜急行の金沢文庫駅を降り、まず向かったのが称名寺です。
ここは金沢八景のひとつ、真言律宗別格本山の寺院で、北条実時が開基しました。
1258年に六浦荘金沢の居館内に建てた阿弥陀堂が、その起源とされています。
3代目貞顕の時には伽藍や庭園が整備されたものの、鎌倉幕府滅亡とともに一時は寺も衰退してしまいますが、江戸時代に入り復興されました。
赤門、そしてその先の仁王門をくぐると、その先には阿宇ヶ池に架かる朱色の太鼓橋がひときわ鮮やかな庭園があります。
浄土式庭園で、1987年に今の姿に復元されました。
池を見下ろしながら橋を渡り本堂に向かうと、なんとも優雅な気分になります。

 称名寺からは、南下して金沢八景駅を目指します。
称名寺のすぐ外には薬王寺、5分ほど歩くと金沢八幡神社、その先には町屋神社やその他御寺が並びます。
龍華寺は、1189年に源頼朝と文覚上人が建立したもので、ぼけ封じ観音として有名です。
横浜金沢七福神の一つで、大黒を祀っています。
その隣の洲崎神社は、金沢八景として数えられた場所です。
元々は冨岡村と柴村との間の長浜に存在していたということです。

 さらに南に進むと道は三叉路で分かれ、そこから金沢八景駅の方向に向かいます。
「明治憲法起草の地」の碑が建っていることに気が付きます。
1887年に伊東博文等が料亭東屋において、明治憲法制定のための草案を起草した記念の碑です。

 この辺りを歩いていると、夏の暑さの中に時折涼しい風が舞います。
そうそのすぐ先は海なのです。
国道16号線に交わる付近の橋からは、平潟湾にキス釣りの船が停泊しているのを見ることができます。
そして、その湾に突き出るように建っているのが、琵琶神社です。
島の形が琵琶に似ていことから、こう呼ばれています。
島には、近江の琵琶湖から北条政子が持ってきた竹生島弁財天を勧請し、琵琶島弁財天として祀られています。
背景の平潟湾も、金沢八景のひとつです。

 そして、国道16号線を境に反対側には、瀬戸神社があります。
ここも金沢八景として有名な神社で、瀬戸三島明神とも呼ばれています。
源頼朝は、1180年に伊豆で挙兵した際に加護をもらった伊豆三島明神をこの地に勧請して社殿を建立したのが、瀬戸神社の始まりです。
とりわけ大きな建物ではないのですが、立派な社殿です。
境内には、1680年の大風によって転倒したものの、腐ることなく残っている蛇混柏(木の幹)が祀られていました。

 やがて、京浜急行の金沢八景駅に着きます。
都会に残る金沢八景を巡っての散策もこれで終わりです。
恒例の電車の写真を撮って、今回の思い出に残しておきます。

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