にっぽんの旅 関東 茨城 つくば

[旅の日記]

つくばと宇宙開発 

 茨城県の研究学園都市 筑波に来ています。
今日は筑波を巡ります。

 筑波へは、快適なつくばエクスプレスに乗って向かいます。
高架か地下を飛ばしていく電車は揺れも少なく、東京からでもあっという間に到着します。
銀色に朱色のラインの入った車体は、いかにも高速で走りそうです。

 さて、つくば駅は地下にホームがあります。
エスカレータで地上に上がると、そこは近未来都市のようです。
古めかしい建物はひとつもなく、ホテルや商業施設などの四角いビルが整然と並んでいます。
ゆったりとした広い道路には、規則正しく流れを乱すことなく車が走っています。
そんな駅前に、「中央公園」はあります。
公園には、つくばゆかりのノーベル賞を受賞した科学者達がブロンズ像となって並んでいます。
ベンチに座る江崎玲於奈や、犬を連れて散歩をする朝永振一郎が、あたかも公園にいるかのような等身大の像になっています。

 公園多くには池があり、水を湛えています。
その先には、H-Uロケットの実物大の模型が飾られています。
エキスポセンターです。
1985年につくばで開催された科学万博のために建設され、当時最新の科学技術の紹介が行われました。
今となっては通信回線としての光回線が当たり前の世の中ですが、当時はアナログ電話線から変わろうとしていたISDNという最新の高速デジタル回線が紹介されていたことが記憶にあります。
小型の工具箱ほどの大きさがある携帯電話を、技術の粋として貴重がられていた時代です。
プラネタリウムや科学展示場が入った施設は、科学館として使われています。

 ここからバスに乗って、宇宙航空研究開発機構まで移動します。
舌を噛みそうな名前のバス停です。
ロケットや人工衛星を手掛け、NASAに宇宙飛行士を送り出している通称JAXA(ジャクサ)の「宇宙センター」です。
無料公開されているJAXAに、入っていきましょう。

 正面には、ロケット広場があります。
そこには全長50mもあるH-Uロケットの実機が横たわり、展示されています。
これまでのロケットとは違い純国産のロケットで、世界トップクラスの打ち上げ成功率を誇ります。
様々の衛星を宇宙まで運んできました。
地球の上空で周回軌道に入るまでの面倒を見ます。
衛星はロケットの上部に乗っており、本体の多くは打ち上げのための燃料です。
なんと打ち上げ後14分間で、搭載燃料の全体の90%を消費するそうです。
現在は改良が加えられより高い性能を誇るH-UAロケット、そしてH-UBロケットへと進化しています。

 それでは、展示館であるプラネットドームに入ってみましょう。
中央には、国際宇宙ステーション「きぼう」が展示されています。
15ヶ国が共同で建設を行った有人の宇宙施設である国際宇宙ステーションですが、その中の日本の実験棟が「きぼう」です。
無重力の宇宙でユニークで重要な実験が行われています。
「こうのとり」は、このうちステーションに必要な資材を運ぶ日本の補給機です。
食料や衣服などを運び、帰りには宇宙ゴミを積み込みます。
そのまま大気圏に突入し、航空機の航路の高さまで下りてくる間に燃え尽きてしまうのです。

 館内にはいくつもの衛星が展示されています。
大方が模型であるのに対して、そのうち「ゆり」だけは本物の衛星です。
実験用放送衛星です。
何故本物の衛星があるのかと言えば、万一の事態に備えて通常は複数の衛星を準備します。
何事もなく打ち上げに成功したため、影武者のもうひとつの衛星がこうして展示できているのです。

 最後の展示は、日本のロケットの歴史です。
東京大学教授であった糸川英夫のペンシルロケットから始まり、さきほど実機を見てきたH-U型ロケットなどの縮小模型が並んでします。
H-U型は既に開発が終わり、実用機として三菱重工へ生産が移管されています。
JAXAが今力を入れているのはH-V型ロケットで、コスト低減を命題にしているとのことの説明を受けます。
日本の進んだ宇宙技術が、伝わってくるのです。

 その他にも会場には、普段は見ることのできない宇宙服や宇宙食も展示されています。
時間ごとに行われる解説では、展示に対する詳しい話を聞くことができます。
今回は、幸運にもちょうどその一行に加わることができたのでした。

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