にっぽんの旅 関東 茨城 勝田

[旅の日記]

紅葉のコキアと那珂湊 

 本日は茨城県の勝田から、ローカル線の旅です。
日立製作所のおひざ元である勝田から、「ひたちなか海浜鉄道」に乗って移動します。
勝田駅ではJRの改札を入り、その中に「ひたちなか海浜鉄道」の改札があります。
JRの入口では、駅員に声を掛けて改札を通してもらいます。
「ひたちなか海浜鉄道」のホームは1本で、電車の来るのを待ちます。
やって来たのは、1両編成のワンマン電車です。
ワクワクしながら乗り込み、これに揺られて旅をします。

 まず最初に向かったのが、終点の阿字ケ浦駅です。
駅前には小さなロータリーがあり、小型のバスが停まっています。
ここからはバスに乗り換え、「国営ひたち海浜公園」に向かいます。
バスは家の間の狭い道を、慎重に走ります。
10分ほどで目的地に着きます。

 実は「国営ひたち海浜公園」にこの時期に来たかったのです。
やっと念願叶い、今回は来ることができました。
なぜこの時期にこだわるかといえば、公園内を少し歩けばわかります。
20分ほど歩けば、小高い丘のところに出ます。
そしてその光景が、期待通りのびっくりするものだったのです。
コスモスが咲き誇るその先の丘は、真っ赤な色に染まっています。
コキアが、赤い炎のように紅葉しているのです。
丸くふわっとした低木のコキアが、丘一面に咲いています。
丘に登り、上から周りを眺めてみます。
赤いコキアがどこまでも続き、別世界へ来たかのようです。
同じようにこの風景を見ようとやって来た人で、公園内はいっぱいです。

 せっかく来たのですから、他の花も見ていきましょう。
白い小さな花が咲いているのは、蕎麦です。
美味しい蕎麦も、花は可憐な姿をしています。
そして黄色い花をつけているのは、キバナコスモスです。
ひょろっとしたコスモスに較べて、キバナコスモスは背丈の低い花です。
黄色の花で埋め尽くされた一角は、圧巻です。
その他にはハマギクなどが、この時期に花をつけています。

 一通り公園を巡ったあとは再び阿字ケ浦駅に戻り、「ひたちなか海浜鉄道」に乗り込みます。
勝田までのちょうど中間点に当たる那珂湊駅で、電車を降ります。
「おさかな市場」で有名な那珂湊ですが、趣のある建物も残っています。
そんな街を散策してみます。

 1871年創業の「明石家」は、印刷所です。
明治時代の住居が今も残り、まちかど博物館に認定されています。
明治から大正にかけて制作された貴重な銅版画や木版画が、ここにはあります。

 それでは、「反射炉跡」を見に行きましょう。
「反射炉跡」の入口には、大きな門があります。
「山上門」で、東京都文京区の水戸藩小石川屋敷にあったものをこの地に移設しました。
小石川屋敷の正門脇にあり勅使奉迎のための門としてされていたものですが、脇の門と言っても立派なものです。

 門を潜り石段を上った先に、「反射炉跡」はあります。
鉄製の大砲鋳造を目的として、徳川斉昭のもと造られた金属溶解炉です。
南部藩士の大島高任を招いて、水戸藩では2基が建造されました。
1855年のものです。
那珂湊の「反射炉」は、佐賀藩、薩摩藩、幕府の伊豆韮山に次いで全国で4番目です。
「反射炉」の建設には、地盤の強固なここ吾妻台が候補に挙がりました。
またこの地は水戸城下にも近く廻船業で栄え、原料の鉄と燃料の石炭の調達運搬に便利であったからです。
大型の大砲鋳造には2炉の「反射炉」が必要だったのです。
1864年の元治甲子の乱で破壊されてしまいますが、1937年になってほぼ原形どおりに復元されたのが、いま目にする「反射炉跡」なのです。

 さらに先に進みます。
道路沿いにある菓子屋は1887年創業の「稲葉屋」です。
黒砂糖を使った手作りの黒飴「反射炉の鉄砲玉」が、売られています。

 「華蔵院」は、真言宗智山派の寺院です。
境内にある梵鐘は、1339年に製作されたものです。

 その「華蔵院」から木々の間を抜ける急な上り坂を進んでいきます。
その先には「湊公園」があります。
水戸藩2代藩主徳川光圀の別荘があったところで、元治甲子の乱で焼失してしまいます。
海を眼下に見渡すことができる場所です。
公園内には須磨明石から移植したとされる樹齢300年以上の黒松が生えており、「湊御殿の松」と呼ばれ大事にされています。

 「湊公園」を越え、坂を下りた天満宮の先にあるのは「あさ川」です。
明治時代に建てられた趣のある建物ものです。
和菓子屋でここを起点に茨城県内に多くの店舗を展開しています。

 赤い鳥居のあるには「四郎介稲荷神社」です。
1594年に飯塚家の初代 四郎介が、伏見稲荷神社を勧請したことが興りです。
ここには4匹の狐が関係しています。
御祭神の使いとして、それぞれの土地を守っています。
静神社瓜連の源太郎狐川の守護神
三島神社米崎の甚二郎狐野の守護神
笠間稲荷神社笠間の紋三郎狐山の守護神
四郎介稲荷神社那珂湊の四郎介狐海の守護神

 その他にも那珂湊で忘れてはならないのが「那珂湊 おさかな市場」でしょう。
那珂湊漁港に水揚げされたばかりの魚を食べることができます。
実は一昨日、昨日と豪勢な料理を食べ続けていましたので、今日は違ったものを口にしたく勝田まで戻ります。
那珂湊駅に戻って、再び「ひたちなか海浜鉄道」に乗り込みます。

 勝田には、この地方のB級グルメである「スタミナラーメン」があります。
店の前には既に行列ができており、20分ほど待ってようやく店に入ることができました。
「スタミナラーメン」とは、モチモチの太麺にとろみのついた醤油あんが乗ったラーメンです。
太めの麺につゆが入った普通のスタミナラーメンと、麺にあんだけをかけたスタミナ冷やしがあります。
今回はスタミナ冷やしを注文します。
冷やしと言っても熱いあんのため、汗をかきながら食べます。
キャベツ、もやし、白菜、ニンジンの野菜にキクラゲやレバーが入った盛りだくさんです。
お腹いっぱいになるのですが、ピリ辛の醤油あんがラーメンを飽きさせません。
久しぶりに、特徴のありそして美味しいラーメンに巡り合うことができたのでした。

 
旅の写真館