にっぽんの旅 関東 群馬 草津温泉

[旅の日記]

草津温泉 

 今回は、群馬県の草津温泉への旅です。 東京から高速バスで4時間余り、同じ関東圏でありながらもちょっと遠目の移動です。 関越自動車道を進むバスの車窓は、都会の建物から田舎の田畑の風景にあっという間に変わっていきます。 高速を降りたバスはやがて山道に入り、日影には白い雪も見えます。
そして、やがて終点の草津温泉のバスセンターに到着です。

 草津バスセンターの3階は、草津温泉資料館があります。
まずはここで草津の知識を入れていきます。
「草津よいとこ、一度はおいで」の唄で有名な草津温泉です。
古くは日本武尊が草津で温泉を発見したと伝えられていますが、文書として確認できるのは行基がこの土地で温泉を見つけたということです。
熱海、有馬と並ぶ日本を代表する温泉であること、湯量も豊富であることなど、詳しく説明されています。

 その後向かったのは「湯畑」です。
これを見たくて草津温泉に来たといっても、過言ではないでしょう。
硫黄の香ばしい?匂いが鼻をつきます。
匂いのする方へ足を運ぶと、温泉街の中央にロータリー上に整備された一角を見ることができます。
湯気の先には、木で作られた溝を湯が流れています。
毎分32000リットルの湯が湧出る様は圧巻で、数重本の木で造られた溝を通し外気にさらすことによって、53度の源泉を48度まで自然冷却しています。
水を加えた冷却ではないため、戦線濃度が薄まることなく最大限の効能が維持できるのです。
湯畑からはもくもくと湯気が上がり、初冬のピリッと冷える外気に負けじと立ち向かっているような迫力です。
土産物屋に温泉卵のソフトクリームなるものがあります。
黄色みがかったクリームで、寒空のもと歩いてほてった身体を冷やします。
そばには足湯もあり、黒山の人だかりだったために、入るのはやめてしまいました。

 湯畑の脇には「熱の湯」があります。
ここは湯もみショーが行われるところです。
そもそも源泉の熱湯には熱くてそのままでは入れたものではありません。
そこで湯長の号令に従って3分毎に時間を区切って入浴する「時間湯」という入浴法を見せてくれます。
数名のかすり姿の女性が、幅30cm、長さ180cmの板を持って、湯もみ唄を唄いながらかき混ぜて冷ましてくれるものなのです。
その横には公共浴場である「白旗の湯」があり、入口を見る限りでは観光客で混み合っていました。

 湯畑の根元の道路を挟んだ反対側に源泉はあります。
観光客の集団は「湯畑」ばかり観て、こちらはひっそりしています。
この源泉こそ見なければいけなのに。
そして源泉の脇には石の階段が登っており、その先には「光泉寺」があります。
「光泉寺」の薬師堂は、行基が創設したといわれる真言宗のお寺です。
「光泉寺」自体は、1200年にこの地を治めていた湯本氏により白根明神の別当寺として再建されました。
御本尊の薬師如来、藁葺きの釈迦堂など、目をひくものがあります。
そして何よりも、ここの石段の途中から今見てきたた「湯畑」が一望できるのです。

 さて次は、「西の河原公園」に向かいます。
旅館と土産物屋が並ぶ路は、古い街並みが続いています。
途中、温泉まんじゅうとお茶が振舞われたり、煎餅が配られたり、いたれり尽くせりです。
道端の店を覗きながら10分ほど歩いて行くと、「片岡鶴太郎美術館」に出ます。
そしてその先に、「西の河原公園」はあります。
正直ここに対してはあまり期待をせずに出かけたのですが、地面から湯気が立ち上げエメラルドグリーンの澄んだ湯が至る所に溜まりそれがあふれて流れ出す様は、一見の価値があります。
奥には「西の河原露天風呂」がありますが、手拭を準備して来なかったという失態で、ここは通り過ぎます。

 さてここからは、草津に点在している浴場巡りです。
「西の河原公園」から東の「草津熱帯園」方向に向かっていくと、「関の湯」があります。
さらに「湯畑」を越え旅館街に入ると、「千代の湯」が見えてきます。
ここもさきほどの「熱の湯」同様に時間湯を実施しており、しかも実際に入浴ができます。
時間湯の入浴時刻を示す看板が、掛っていました。

 さらに進むと、木の壁と三角屋根の「煮川の湯」があります。
そしてその先には、観光で来ても気軽に入れる「大滝の湯」があるのです。
まだまだ先を進むといろいろなお風呂があるのですが、ここで一旦「煮川の湯」まで戻り、ここから険しい登り道に入ります。

 その先にあるのは「地蔵の湯」です。
お地蔵さんが祀られており、「地蔵の湯」があります。
ここも時間湯になっており、中からは湯もみの掛け声が聞こえてきます。
非常に興味があるところなんですが、壁には覗かない旨との掲示があります。
一般の人が入浴しているはずですから、当然ですよね。
ここは耳をすまして、湯もみの声に聞き入ることにしましょう。
そして、ここには足湯もあるのです。
「湯畑」の混み合った足湯とは打って変わって、こちらの足湯には人っ子一人入っていません。
おかげで、私専用でゆっくりつかるとこができました。
歩き疲れて今にもつりそうなつちふまずの筋肉を、ゆっくりと休ませてやることができ、疲れが取れたのです。

 その後、バスセンター近くの「瑠璃の湯」を横目に、草津温泉の入口まで歩きます。
1kmほど離れたところにある「道の駅」は、温泉街からは外れた静かな場所にあります。
なぜここに来たのかといえば、ドイツ人エルヴィン・フォン・ベルツの記念館があるからです。
「道の駅」の2階がベルツの展示フロアーとなっています。
明治時代に医師で日本にやってきたベルツは、東京大学で多くの日本人医師を生み出します。
チェコの温泉地カルロヴィ・ヴァリと対比し、草津の優位性を説き温泉治療を進め、草津温泉での保養地造りに功績をあげたのです。
その後ドイツに戻りますが、日本人妻である岩本ハナの献身的な姿と、第1次世界大戦に巻き込まれ敵国でたくましく生きた姿が語られています。

 さて観光も終わり宿に戻ったら、公衆の銭湯に行ってみたくなりました。
近所に「千歳の湯」があると聞き、早速訪れてみます。
地元の方が利用するお風呂で、他に2人のお年寄りが湯につかっていました。
身体の芯から温まり、無料という思ってもみなかった嬉しいおまけもあって、ほくほく顔で宿に帰ってきたのです。
あとはここでのもう一つの楽しみであるお蕎麦を食べなければなりません。
しっかり着込んで、本日何度目かの「湯畑」に向かうことにします。
蕎麦ととろろ飯、そしてさしみこんにゃくにビールを、夜の湯畑を眺めながら食べる贅沢なひと時を過ごしたのでした。

 
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