にっぽんの旅 関東 千葉 木更津

[旅の日記]

木更津から浜金谷 

 JR木更津駅のホームに降り立った時には、既に正午前でした。
今日は木更津、浜金谷を抜けて、フェリーで対岸の久美浜を回ります。

 木更津に来たのは「しょ、しょ、しょうじょう寺、しょうじょう寺の庭は・・・」の唄で有名な證誠寺を訪れるためです。
駅の西口ロータリーには、クリスマス衣装を身につけた狸が飾られています。
駅から延びる富士見通りを歩くと、まず目につくのが光明寺です。
ここには、歌舞伎の人気の狂言「与話情浮名横櫛」で有名な与三郎の墓があります。
木更津が舞台の与三郎、お富の恋物語です。

 あっさり光明寺が見つかったものですから、近くの證誠寺もすぐ見つかることでしょう。
ところがお寺らしきものは、その先の富士見通りには見当たりません。
道を少し入ったひっそりとした所に、證誠寺はありました。
誰もが口ずさみ有名なお寺であるにも関わらず、證誠寺自体は近所の檀家に支えられた小さなお寺です。
ちょうど訪れた時も、お葬式が終わったところで、普段のお寺の風景でした。
境内には童謡證誠寺の碑が建っており、お寺の壁には木彫りの狸の額が飾られています。
これがあることで、童謡のお寺であることが確認できたぐらいで、飾り気がないこのお寺になおさら好感が持てたのでした。

 さてもう少し西に歩き、木更津港に出ます。
港では数隻の漁船と、砂利を運ぶ大型船が停泊しています。
対岸の中の島を結ぶ朱色の中の島大橋が、ひときわ大きくそしてまぶしく見えます。
ここは、日本一高い歩道橋なのです。
橋の両側は2往復半の折り返しの坂で、大型船が行き交うことのできる橋の高さまで登り切ります。
対岸の中の島は、夏ならば潮干狩りで賑わうところです。
数々の映画の撮影舞台となる木更津ですが、本日も橋の上で大勢のエキストラが撮影の準備をしていました。

 ここで再び、木更津駅に戻ります。
売店では肉まんならぬ「アサリまん」が売られています。
漁港木更津ならではのアサリで食べたいのは山々ですが、実はこれから食事に行こうとしているので、ここはグッと我慢します。
そして、ここから3駅先の大貫駅まで電車で移動します。

 大貫駅から10分程歩いたところに、お目当ての食堂がありました。
そう、富津名物である「はかりめ丼」をわざわざここまで食べに来たのです。
はかりめとは、この地方で言うアナゴのことです。
ウナギよりのあっさりしているアナゴを丼に敷き詰め、甘めのたれをかけて出来上がりです。
頼んだ丼には、味噌汁、おから、そして茶碗蒸しが付いてきました。
それにビールを添えて、完璧です。
ここまで電車と徒歩で探し当てて来たのですから、ビールの味はひとしお美味しいものでした。

 腹も満たしたので、再び電車に乗り浜金谷駅まで行きます。
鋸山に向かいたかった!のです。
なんでこんな遠回しな言い方をしているのか…。それには訳があります。
浜金谷駅に降りて、鋸山ロープウェーの乗り場まで歩いて行きます。
地図を見る限りでは駅のすぐそばと思っていたのですが、思いのほか時間がかかってしまいました。
ところがロープウェーの乗り場の入り口には、何やら怪しげな看板が。
そうなんです。点検のためロープウェーは運休だと!
そんなことHPに書いておけよ。罵声を浴びせたくなりますが、隣りにも知らずに車でやってきた人がすごすごと帰って行く姿がありました。

 鋸山は次回、いやもう永遠に来ないかも(?)しれません。
ロープウェイ乗り場を後にして、浜金谷港に向かいます。
東京湾を横断して対岸の神奈川県久里浜まで、船で向かうのです。
対岸はすぐそこのように見えていますが、約40分の船旅です。
海は少し荒れていましたが、所詮は東京湾のなか大きな揺れもなく、のんびりした船旅のおかげでロープウェー運休の怒りも治まったのでした。

旅の写真館(1) (2)