にっぽんの旅 北陸 福井 鯖江

[旅の日記]

鯖江はメガネの聖地 

 ここは福井県鯖江、鯖江駅に来ています。
北陸本線を福井から南下し、鯖江駅に到着しました。
1つ手前の北鯖江駅からは山肌にSABAEの文字とメガネのマークが見えたので、鯖江に近づいたと判ったのです。
鯖江駅を降りても、目の前にはメガネのオブジェがあります。
そう、ここはメガネの町なのです。

 それでは、まずは駅前散策と行きましょう。
駅の西側ロータリーから北西に位置する「西山公園」を目指して歩いてみます。
「松阜神社」は間部詮房(まなべあきふさ)、詮言(あきとき)を祀っていた受福堂で、鯖江藩邸内にあったものです。
明治になりこの地に移し、松阜御殿の跡地で藩主を御祭神として祀ったものです。

 神社の前には、「植田家長屋門」があります。
代々鯖江藩家老であった植田家の長屋門が残されてます。
長屋門とは、いくつもの部屋が門とひとつの屋根で結ばれている建物のことです。
現存する長屋門は、貴重な遺構です。

 さらに神社の石鳥居の隣には、洋風木造2階建の建物があります。
明治時代には鯖江が繊維産業が盛んで、繊維王国とも呼ばれていました。
そのころの名残を留める建造物で、「旧鯖江地方織物検査所」です。
鯖江近辺で生産された織物は一旦ここに集められます。
検査を受け合格されたものだけを出荷し、鯖江の繊維の品質を厳しく管理おり、このことが鯖江が一大繊維王国に上り詰めることができたとした所以です。
今は「さばえ現代美術センター」として使われており、個展や展示会が開かれています。

 再び「植田家長屋門」まで戻り、その通りを北に進みます。
道の両側には料亭や旧家が並び、独特の趣を感じます。

 大きな通りに交叉しました。
ここに洋風のビルがあります。
線高いビルがない鯖江ですので、5階建てのこのビルは目立ちます。
その1階に聞いたことのある名前のパン屋があります。
「ヨーロッパン キムラヤ」は、あの有名な「銀座キムラヤ」からのれん分けを許された由緒あるパン屋なのです。
「大福あんパン」が美味しいと聞いて、それを頼んでみます。
歩きながら食べると告げると、冷やしているので15分ぐらいすると溶けて食べごろになるということです。
じっと待つこと15分、口にほおばるとあんパンの中に大福もちが入っており、モチモチした食感があんこと混ざり美味しい食べ物です。
面白いものに出会うことができたのでした。

 「ヨーロッパン キムラヤ」からは、2筋西に移ります。
南北に商店街が続き、この辺りの繁華街でしょうか。
色々な店が軒を並べています。

 交差点の北西の角には、大きな寺院があります。
「本山誠照寺」で、1207年に親鸞聖人が越後へ来られた時に豪族波多野景之の別荘に滞在し、弥陀本願の要法を説かれます。
景之は溢れる法悦に随喜し、自身を空然と称するまでになります。
その後に景之は親鸞聖人の第5子 道性を道場にお迎えすることになります。
しかしその道場も手狭になり、景之の寄進により現在の地に移り住むことになります。
時の後二條天皇より「真照寺」の勅額を賜り、その後の後花園天皇からは改めて「誠照寺」の勅願を賜り現在に至ります。
四足門から入り正面の御影堂は、大きく壮大なものです。

 「本山誠照寺」の四足門の手前、通りに面したところに「あやめ呉服店」があります。
この辺りは、鯖江藩の門前町として栄えたところです。
昔ながらの街並みが残り、風情のある木造の家が所々に残っています。
「あやめ呉服店」に店内に残る看板は、魯山人作で国の登録有形文化財にも指定されています。

 さらに北上して行くと、福井電鉄福武線の線路を挟み小高い丘があります。
ここからが目指していた「西山公園」です。
丘の頂上には、小さな「西山金比羅宮」があります。
1744年に有名な讃岐の金比羅神社からの分神を得て建立されたということです。
山頂なのに日本庭園が広がり、池には錦鯉が悠々と泳いでいます。

 暫くは広い西山公園を巡ってみます。
「道の駅西山公園」の辺りには、丘中にツツジが植えられています。
その時期になるとツツジを山全体を覆うのですが、この時はまだ開花時期には1ヶ月早いようです。
そのころにまた来てみたいものです。

 さて再び鯖江駅まで戻り、線路の反対側(東側)に移動します。
鯖江で訪れてみたかった「めがねミュージアム」に向かいましょう。
線路を潜る地下道は、階段にメガネの模様が浮かび上がっています。
階段を下り切ったところには、天井からメガネが回っている様子が投影されています。
そして通りを歩いていると、そこで出くわすベンチもメガネの形をしています。
もう、町中がメガネ一色のようです。

 駅から10分ほど東に歩いたところに、近代的な大きな建物が見えてきました。
屋上には大きな赤いメガネが飾ららています。
鯖江に着いて駅のロータリーで最初に見たメガネと同じものです。
どうやらここが「めがねミュージアム」のようです。
しかしその前に、先の穴田川に架かる「枇杷橋」の欄干を見てからミュージアムに入ることにします。
その欄干にも、メガネを模ったものがあると聞いていたからです。
それは「枇杷橋」の文字を表す部分が、メガネの形にくり抜かれているものです。
面白いので、写真に収めてきました。

 さて「めがねミュージアム」は3000以上の最新のメガネフレームの展示、そしてメガネの歴史を展示する部分に分かれます。
最新フレームに関しては、町の眼鏡屋で選ぶ数をはるかに超えています。
デザインと色が違うフレームがあり、どんな望みもここではかなえてくれそうです。
メガネを愛用している者にとっては、非常に興味深いものでした。
そしてメガネの歴史については、過去に造られた様々なメガネが展示されています。
ここに来るまではべっ甲フレームのイメージが強かった鯖江ですが、それだけでもなさそうです。
初期の金属フレームを加工したメガネ、それも耳にかけることなく装着できるものなど、貴重なメガネがここにはあります。
またメガネ製造に関する説明もあり、無料展示とは思えない充実ぶりです。
鯖江のメガネフレームは国内生産の96%を担っているということですから、そのすごさには脱帽するのでした。

     
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