にっぽんの旅 中国 鳥取 境港

[旅の日記]

境港と鬼太郎 

 本日は境港を訪れてみます。
境港にはゲゲゲの鬼太郎に代表される、水木しげるロードがあるのです。
これまでも各地にある、氷見の忍者ハットリ君で有名なまんが通りや、石巻でサイボーグ007が並ぶいしのまきマンガロード、敦賀で宇宙戦艦ヤマトが並ぶシンボルロードなどを巡ってきました。
しかしゲゲゲの鬼太郎は、他とは違った異様な雰囲気が漂っています。

 JR米子駅から、境港行きのJR境線の電車に乗ります。
他にも0番線をもつ駅は多くあるのですが、0番線から発車する電車は何か怖そうな感じがします。
やって来たのは、ゲゲゲの鬼太郎がプリントされた妖怪電車です。
2両編成でそれぞれ車両ごとに図柄が異なり、先頭車は目玉おやじ、そして2両目はねずみ男です。
電車のシートや壁、天井にもそれらのキャラクタが描かれています。
ここから境港まで40分余り、ゲゲゲの鬼太郎の登場人物が運行案内をしてくれます。

 JR境港駅を降りると、ここからが水木しげるロードの石像が始まります。
駅のロータリーは目玉の電灯が並び、色々なモニュメントが至る所に置かれています。
最初に目につくのは、机に座って水木しげるが執筆をしているところを、鬼太郎とねずみ男が眺めています。
モニュメントは並びますが、そのいくつか隣には河童の三平がタヌキ、河童とともに竹馬に乗って遊んでいます。

 その先に駅前広場があります。
ここは世界妖怪会議と呼ばれているころです。
鬼太郎たちが輪になって会議?をしています。
その輪の中にいっしょに入り会議に参加。いや写真を撮ることもできます。

 またロータリーには、悪魔くんもいます。
実写版の悪魔くんは子供向け番組であるのに笑えるものではなくどこか怖さがあるのですが、毎回見たくなるものです。
メフィストと悪魔くんが、謎に挑んでいる場面です。
言葉にはしませんでしたが、頭の中では謎の呪文「エルエム・エスタイム」が、駆け巡っていました。
後に判ることになるのですが、「エロイム・エッサイム」が正解で、正式な悪魔学で語られる言葉で「神よ、悪魔よ」の意味だそうです。

 通りの左手に広場があります。
ここは妖怪広場です。
正面の河童の泉では、ねずみ男が泳いでいます。
河童の三平や悪魔くんもおり、水木ファミリーが勢揃いしています。
鬼太郎は小便小僧として登場しています。

 妖怪広場を出た後は、その先の交差点にはゲゲゲの鬼太郎の主要メンバーが集結しています。
まず出会うのが、目玉おやじです。
ご存知の鬼太郎のお父さんで、病気で自分の身体を捨て目玉に魂を宿しました。
妖怪の知識は豊富で、適切に助言をして鬼太郎を助けます。
茶碗風呂に入ることが日課で、ここにあるモニュメントも風呂の最中のようです。

 その隣には鬼太郎がいます。
人間と妖怪のハーフです。
ゲゲゲの鬼太郎の主人公であることは言うまでもなく、悪い妖怪を退治する正義の味方です。
毛針になって飛ぶ髪の毛、祖先の霊毛で作ったちゃんちゃんこ、飛ぶ武器であるリモコン下駄が、鬼太郎の武器です。

 その通り向かいにいるのは、ねずみ男です。
鬼太郎につきまとう妖怪ですが、形勢が悪くなると敵の妖怪側に平気で寝返ります。
こんなねずみ男ですから、誰からも信用されなくなっています。
口臭は強く、妖怪を撃退させるほどの強力な異臭を放ちます。
ある意味強力な武器でしょう。

 その先には、砂かけばばあがいます。
鬼太郎の祖母的な存在で、鬼太郎を助けていっしょに戦ってくれます。
砂を撒いて相手の妖怪を目くらませて攻撃します。
妖怪アパートの管理人として、住み家のない妖怪を住まわせる優しく面倒見が良いばばあです。

 ここで通り沿いに神社があります。
妖怪神社というもので、鳥居の手前には目玉が水の流れに伴いゆっくり回っています。
この時点から奇妙な神社であることがうかがえます。
家内安全・、心願成就、病気平癒など、妖怪の力を借りてご利益を授けてもらうというものです。
なんだか胡散臭いですが、ここに来たからにはお参りをしていきます。

 その先で橋を越えるのですが、橋の両側にも鬼太郎たちがいます。
左手には、橋の欄干を支えにしてねずみ男が寝そべっています。
怠惰なねずみ男のいつもの姿が表現されています。

 反対側には手に目玉おやじを乗せた鬼太郎が座っています。
下駄をはき足を組んでいます。
これまた普段通りの鬼太郎です。

 ここで通りを逸れて左側に川を下ります。
100mも歩けば、その先は海です。
駅の名前の通りここが境港で、漁から帰ってきた漁船が休んでいます。
山陰の海産物がここで陸揚げされます。
それではその海にちなんだもので、昼食としましょう。

 最初は海鮮丼かと思ったのですが、半ば観光地と化した水木しげるロードでは、目の飛び出るような値札が着いています。
諦めて普通の喫茶店に入ったのですが、そこで目を引くものがありました。
メニューに載っているのが、カニのホットサンドなのです。
どんなものなんか興味深くて、ついつい頼んでしまいました。
出てきたのは予想を裏切らない、カニがいっぱい詰まったホットサンドです。
そして何よりもその喫茶店は、コクがあって美味しいコーヒーを出してくれたのでした。

 食事も終え満足したところで、水木しげるロードの後半戦を進みます。
底にあったのが、一反もめんです。
鬼太郎を乗せて空を飛ぶ妖怪です。
その実力は大したもので、空中戦には必須の乗り物です。
ただし布でできた一反もめんなので、火に弱いことが欠点です。

 子泣き爺はゲゲゲの鬼太郎の妖怪のひとつです。
鬼太郎を助けながらも、悪さをする老人妖怪です。
瞬時に身体を石のように硬くし、その重量で悪い妖怪を押しつぶします。
将棋が趣味で、その腕前は名人級です。
ただ暇があれば、昼間からでも酒を飲んでいる困り者です。

 ネコ娘もいます。
鬼太郎の幼なじみで、猫の気性を受継いだ性格の持ち主でし。
ユメコとは鬼太郎を巡って恋敵の関係です。
ねずみ男には天敵で、ことあるごとに爪でねずみ男に傷を負わせるのです。

 この先には、ぬりかべです。
鬼太郎の味方となる妖怪です。
巨大な壁として敵の前に立ち塞がったり、敵の攻撃から味方を守ります。
手に持ったこては、敵の妖怪を自分の身体へ塗り込み攻撃を封じます。
必要以上の言葉を喋らない寡黙な妖怪です。

 水木しげるロードの終点に位置するところに、ろくろくびがあります。
お化けの世界でもおなじみのろくろくびですが、これとて妖怪界では立派な妖怪なのです。
ここまで道の左右に130体を越えるモニュメントが並んでいました。
ここまで大量に並んでいるのは、境港しかないではないのでしょうか。

 そしてここに水木しげる記念館はあります。
水木しげるの集大成が、ここに詰まっています。
原画の展示や、水木しげるの生涯が展示されています。
大阪の住吉区東粉浜で生まれ、境港市入船町で育ちます。
当初は紙芝居を描いて生計を立てていましたが、その生活は苦しいものでした。
貧乏な生活が続いたのですが、メディアに取り上げられたのが人生の転換点でした。
悪魔くん、ゲゲゲの鬼太郎、河童の三平など、多くのヒット作を生み出します。
雑誌や漫画の単行本が展示されています。
でも資料館での一番の収穫は、独り身と思っていたねずみ男が実は既婚者だということが判ったことです。

 さて帰りのJR境線では、子泣き爺と砂かけばばあの電車です。
電車つながりで、耳より情報をひとつ。
米子には、珍しい駅弁があります。
鬼太郎丼と呼ばれるその弁当は、目玉焼きが真ん中で目玉おやじを主張しています。

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